第1回 初音ミク ~永遠の歌姫~
記念すべき第1回は、仮想の存在でありながら魅力的なアイデンティティーを確立し(そのアイデンティティーも、仮想のものではありますが)、世界中の多くの音楽ファンから愛されている「ボーカロイド」の筆頭格、初音ミクについて語ります。
初音ミクという歌姫を初めて知ったのは、いつ頃だったでしょうか。
すでに、高い知名度を獲得して、「ストロボナイツ」「ワールドイズマイン」「ローリンガール」など、人気曲も数多く登場していた頃だったので、2010年あたりかもしれません。
初音ミクについて、ご存じない方のために、簡単に説明しておくと、彼女は実在するアーティストではありません。
ボーカロイドと呼ばれる、パソコン用の音声合成ソフトに付けられた名前です。
このソフトは、人間が吹き込んだ声をデータとして膨大に記録していて、パソコン上で言葉や音程を設定すると、その通りにしゃべったり歌ったりさせる事ができる、というものです。
つまり、作曲者が自分で歌ったり、生身の歌い手に依頼したりすることなく、パソコン上で自分の曲に歌を付ける事ができる、という優れものなのです。
ただし、ボーカロイドに人間のような繊細なニュアンスで歌わせるには、ソフトの操作にかなり習熟しなければならず、誰でも上手に歌わせることができるわけではないのが難しい所です。
逆に言うと、ソフトに習熟した作曲者であれば、ボーカロイドに生き生きとした魅力的な歌声を発揮させることができるわけで、数多くの無名の作曲家が、自身の楽曲をボーカロイドに歌わせて、ニコニコ動画やYouTubeといった動画サイトで公開する事で、音楽ファンからの評価を獲得し、知名度を高め、ボーカロイド人気をも次第に高めて行く事に貢献しました。
ボーカロイドは、2003年に最初のバージョンが発売されていますが、人気ボーカロイド、『初音ミク』のソフトが発売されたのは2007年の事です。ボーカロイドには、初音ミク以外にも、MEIKO、KAITO、鏡音リン、鏡音レン、巡音ルカ 、などがあり、それぞれに、ミュージシャンや声優さんが音声を担当しています。
私の一番好きなボーカロイドは、やはり初音ミクです。これは、声優さんの声の魅力でしょうね。
私が初音ミクを聴きはじめた頃、真っ先に好きになった作曲者は、kzさんです。
この方の作る曲、「Packaged」 「ストロボナイツ」「ファインダー」「Last Night, Good Night」などは、どれも完成度が高く、ポップな明るさの中に心地よい切なさもあり、一聴してkzさんの曲だと分かる音作りの個性もあるのが魅力です。
ボーカロイドは、今では世界的にファンのいる、一つの確固とした音楽ジャンルにまで成長しています。
「機械的な歌声で気持ち悪い」とか、「オタクっぽい」と敬遠する人も少なくなかった2010年頃に比べると、隔世の感があります。
最近私がはまっているのは、海外でのボーカロイドのライブ公演の模様をファンが撮影した動画を視聴する事です。
スクリーンに映し出されたボーカロイドたちが歌って踊り、生バンドが伴奏を付ける、という手法で開かれるコンサートなんですが、海外のファンの乗りが最高で、合いの手やウェーブなど、息の合った盛り上げ方も壮観で、観ていて嬉しくなって来ます。
特に、今年の海外公演『Miku Expo2020』は、バンドメンバーの技量が素晴らしく(特に、ドラムスのcamachoさんのテクニックとドラムサウンドの素晴らしさ!)、ボーカロイドにご興味が湧いたなら、ぜひ体感してみてもらいたいです。
コロナ騒ぎが世界に波及する前の、ロンドン、パリ、ベルリン、アムステルダム、バルセロナで開催されたそうで、どの国でもステージと観客が一体になって盛り上がっています。
アムステルダム公演の模様
https://www.youtube.com/watch?v=BtDrRwaQ_BE