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コーと競合

なーう、にゃーう、なーぅ。

「差し支えなければ、詳細を教えてください」

このところの流れからして怪しさを感じる。

脳内招き子猫が小首をかしげて、なーぅと鳴いている。


「土地建物も設備も全部リースバックしてあげましょう、長期契約しますよ、毎月リース料を支払ってもらえばそのまま使ってよいですよ、と言われたな」


セールアンドリースバックなら、設備を売却し、まとまった資金を手にすることができる。設備をそのまま使い続けるために毎月リース料を支払うことになるが、適切な期間、適切な条件で契約すれば資金繰りを立て直し、契約によっては、最終的に対象物件を買い戻すことも出来る。一応のメリットはある仕組みだ。

ヒポテさんに前向きな資金計画があって、適切な条件ならば。


「売却額とリース料は示されましたか」

「まだ聞いていない。古くて状態が悪いから大した額にならない、だけど専門業者をはさむからリース料は高くなると言われた。普通ならやらないが、今回の事情を考慮して特別に契約する、足りない額は良い貸金業者を紹介しますとなあ。実際、損害賠償請求された額は大した額なんだ」


みんなグルな気がする。

賠償請求から貸金業者までみなグループだったと仮定する。

そうすると彼らは最初の支出後、資金の雪玉をゴロゴロ転がして雪だるまにするのだ。

彼らは不動産と設備の買取代金をヒポテさんに支払う。ヒポテさんはその代金を賠償金の一部として彼らに戻す。

ヒポテさんは資金を右から左に動かすだけで手元に残せない。そして設備を使うために彼らに毎月リース料を払う。

リース料は彼らの継続的収入になる。彼らからすれば最初に支払った金額はすぐ回収出来るし、土地建物と設備の所有権を得たうえで、毎月リース料が入ってくる。長期で、だ。

土地が少なく人の多い中央には固定資産税があるので税金は彼らが払うこととなるが、キチンと納税してますよ、まっとうですよ、という証明になる。


長期のリースは、多くの場合、使用料にあたる金額に事務管理や手続き等人的物的コスト及び金利相当分が加算される。

設備を自己資金で購入した場合はもちろん、お金を借りて返す場合の利息込みの支払総額よりも大きな額を払うことになる。

今回のケースはかなり上乗せできる。前世日本と違って競合他社も公序良俗の概念もないこの世界で、金融に疎い獣人相手だ。原則解約不可のリース期間を長く契約しておけば、安泰である。支払えないとなれば多額の違約金を請求し再度なんらかの対応をせまることもできる。あるいは仲間の貸金業者にさらに借り入れさせるかもしれない。その先はダークな世界だ。


最初の段階で別の業者を絡めて転リース、つまりリース業者からリースし、それをヒポテさんにリースする形にしてさらに料金を上乗せしたり、手数料や仲介料をとるかもしれない。

また、賠償金に不足する分を借り入れさせるとなれば、全体像として、不動産や設備を換金させ、可能な限りのまとまった額を差し出させたうえで、リース料と借入金の元金返済と利息支払いとして長く巻き上げつづけるつもりなのだ。生かさず殺さず、ヒポテさんが払いきれるギリギリを見極めるのだ。


「それぞれの業者名は聞きましたか。」

「聞いていない。話をつけておくから心配しなくてよいと言われたからな。それに、普通に売却してやり直すつもりだったしな」


かみ砕いて説明していくとみんな何となく分かったような顔をし、徐々に悔しそうな表情になっていく。

「そのセールアンドリースバック契約、私も条件提示させてもらっても?」

「コーとだったらすぐ契約するぞ」

カモだよ。カバなカモがここにいるよ!あれ、カモなカバか?

「すぐ契約しすぎです」

すこしは懲りてください。


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