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チーターとお小遣い

ハグッ、はぐっ、はぐり。チーター兄弟が串焼き肉を歯でうまく剥ぐように食べている。

これで彼らなりに気を使っている。あまり牙を見せないようにしてくれている。

カイくんは上品にカトラリーを操り小さく切ったステーキ肉を口に運んでいる。

ヒポテさんは悩ましそうにしながらビールジョッキをカッパカッパ空けている。

私は微炭酸水を飲みながら、各皿に残った野菜を狙っている。


面倒臭い話ならコーにお任せだ。チーター兄弟が無責任に言う。

「コーはなあ、いろいろ考えるんだ。まどろっこしいことを考えるから俺達にはよく分からない。が、気付いたら面倒臭そうな仕組みが出来ていたりするんだ」

「フィルターのときもそうだった。長老があーだこーだ言って、みんな聞き流してんのに、ハイ、ハイって。じゃあ、巡回のついでにこれを取ってきて、あれを届けて、ってルートをいじって」

「まあ、もともとルートなんて実際通ってないけどな。要はポイントを外さなければ良いんだ」

「取って、狩って、どこどこの部分だけ残してあとの素材は中央の店に売って、ってな。最後に小遣いが残って、俺達はこうしてうまいものが食える」


チーター兄弟は巡回警備はしているが、メガテリウムお父さんと違って公務員的な立場ではない。街では、チーター兄弟のように毎日決まったところで決まったことをやることが苦手な住民は、得意なことで大きな巣を守っている。雇われていないので給料はないが、ついでに何をしても構わない。

結果、街が安全ならば良いのだ。

一応巡回記録や、警戒区域の共有はしているらしい。

班の休憩所がそこここにあるのでお邪魔させてもらうことがある。獣人管理エリアの地図が黒板に書いてあって、各所に回った日時や注意事項が貼ってあり、意外にきっちりしていた。同じ日に複数人が同じ点を経由していたりするのはご愛敬だろう。


長老がいろいろなものの一部分だけ集めてこいというので、巡回組にお願いした。

その代わり、残りの部分は捨てたり食べたりしないで中央に持ち込めばお小遣いになるよ、バルドーさんにお店を教えてもらいなよ、と伝えた。

彼らにとっては簡単な採集、狩猟でも、一般人には、そもそも覚悟なしに立ち入れない場の産物である。

私は素材が手に入るし、愛すべき巡回組のみなはお小遣稼ぎになって、中央の商人は良質な仕入れができる。中央の商人はカイくんパパを通じて探してもらったのでキチンと獣人仕様に硬貨で支払ってくれる。

みな win-win の関係である。


「良いなあ。俺も仲間に入れてくれ」

「親父さんは昼動き回れないから無理だ」

チーターがバッサリ言った。

「親父さんは良い職人だ。活動に限りがあるのが難点だが。俺達には出来ないことが出来るんだ。自信を持ってくれよ」

「そのうち水場で取れるものをお願いします。まずはそのセール アンド リースバック、何と言われたか教えてください。すこしはマシな組み立てができるかもしれません」


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