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頼もしい打ち合わせ

キュ、キュ。キキキ、キキキ。

ハイタカのお兄さんの声が聞こえた。


船のデッキでアレクサンドルさん一行とお茶をしていた私は、日除けパラソルの陰から体を出して空を見上げた。

しばらく目を凝らしていると、栗色と白色の縞模様をもつ立派な翼が見えてきた。


縁で寝ていたナッジくんが早くからピクピクしていたのはハイタカのお兄さんに気づいていたからだろう。

測定はしていないものの、私の視力は早くも衰えている。


「お疲れ様でーす」

陽光に透かされた美しい翼に惚れ惚れしながら、声を張り上げる。

距離があるが、猛禽類の目線を感じた。

翼の角度が変わった気がする。

やっぱり私達宛てだ。

カッコいい急降下が始まるぞ。

わくわくして見守ることにする。


「まだかなり距離がありますよ。コーさんって、人間と獣人とに対するテンション違い過ぎますよね。私達があれだけ離れていたら、目も向けないんじゃないですか」

茶葉を蒸らしていたルーフェスさんが、当たり前のことを呟いた。

首を傾げる私を見て、カーライルさんが、カッカッカッと笑う。

カイくんが新しい茶葉を用意しだしたので、ルーフェスさんの手元のティーポットはもう飲めないようだ。




「ありがとうございます。こんなところまで来ていただいて」

「今回は特別チャーター便です。コーさん、シルバースカイさん、アレクサンドル・クーさん、ルーフェス・カーさん、カーライル・ローさんにそれぞれお届けものです」

鋭い降下パフォーマンスで私を興奮させたハイタカのお兄さんは、勧めた椅子に恐縮しながらも座ってくれた。すぐに丁寧な手つきで五通の封書を机上に並べる。

「特別チャーター便ということは、このあとは帰るだけですか」

受取票に拇印を押しながら聞いてみる。

他の四人も自分宛ての封書を手にしている。

「はい。皆さんから返信を受け取って戻ります」

「要返信でしたか。では、何か軽食でも」

「どうぞなのだ~」

ドミーくんが、良いタイミングでハンバーガーを運んできてくれた。




うーん。

「これは、共和国の誰かに、完全に目をつけられたのでしょうね」

私達は自分宛ての手紙を読み、次いで他の四人の手紙を回してもらって読んだ。

多分みな同じような内容だと予測し、特に言葉もなく隣に手紙を回していった。

結果は、予測通りだった。


「街には不審な人間商人、アレクサンドルさんの事務所とラストル雑貨店には小火騒ぎ。オリーブの店では軍へのわざとらしい誤通報。警備がしっかりしているところばかりとはいえ、居合わせた皆さんには申し訳ないことです」

カイくん宛ての手紙をパラパラして言葉を足す。

「中央の元小悪党達のところがちょっとばかり被害が大きいようです。もともとのいくつかの小競り合いが原因ともみえますが、恐らく、何らかの働きかけがあったのでしょう」

それぞれの関係先から届いた封書の内容を繋ぎ合わせるとそういう結論になる。

ほぼ同時多発的に、私達の関係先に大なり小なり警告じみた騒ぎが起こっていた。


「街は被害がなくてよろしかったですね」

「街では入り口で怪しい者を弾きます。はるばる来たにしては、粘らず撤退が異様に早かったようです。入り込まれていたら、何が起こっていたのでしょう」

「コーさんに不調をもたらした電磁波も、その一環でしょうね」

「まあ、あちらさんもこれ以上派手なことはできないと思うがな」

白けた顔の銀髪護衛が言う。


「カーライルさんは良いのですか。怒るかと思いましたが」

平坦な反応を意外に思って聞く。

「駆け出しの頃はもっと酷かった。たるんでいた奴らには、良い刺激になっただろ。舐められたと怒るには、こっちが大きくなりすぎた。むしろ、俺は小悪党どもが心配だ。立場で言えばあいつらは何かすべきだが、あいつらは嬢ちゃんに遠慮してロクな対応ができなさそうだ」


「では彼らは配置替えですね」

彼らには、フローリッシュ辺りがオススメだ。

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