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お疲れワシミミズク

かれかれ。かさかさかさ。

脂気のない細身のおじさんが、一層乾燥している。

いつもより縮んで見える。


ぐるぐる巻きの防寒具やゴーグルを外したダイルさんは、音が聞こえてきそうなほど、乾いていた。

「・・・んにち・・・しぶりで・・・みなさんお元気そうで」

コリーちゃんの大きな翼に支えられた存在感の希薄なおじさんである。

空の旅により、枯れ枯れおじさんは声まで枯れ枯れしてしまったようだ。乾燥のためだろうが、一部の音が聞き取れない。

たぶん「こんにちは。お久しぶりです」だろう。

枯れ枯れおじさんこと、ダイルさんが街にやって来た。



「ゆっくり飛んだら下からの視線が気になる。速く飛んだら鳥や虫にぶつかる。ダイルは意思表示しないから様子がわからない。気遣うと、ケインが急かす。コリーは好き勝手飛ぶ」

フローくんが淡々と苦労を語る。

寄合所の大テーブルに落ち着くやいなや、寡黙なはずのフローくんが問わず語りした。


「もうやりたくない」

余程疲れたようだ。

ドミーくんとレイくんがみんなに配ってくれたミントティーを一息で飲み干して、大きなワシミミズクは大きなため息をついた。

ふぅー、と息を吐くに従って身体が細くなってしまった。


フローくんの話に付き合おうとしたら、隣に座ったカイくんがほら、と言う。

視線の先では寄合所の椅子に座って大人しくしようとしていた枯れ枯れおじさんの顔が白くなっていた。


「あらあら。私達ちょっと失礼するわ」

フローくんの言葉を聞き流し被保護者を見ていたコリーちゃんは、ダイルさんを翼で囲うように持ち上げた。

そうして颯爽と寄合所を出ていってしまった。


ダイルさん、やっぱり身体に負担だったんだ。

「ほらな」

カイくんが言う。

「コーには無理だ」


フローくんの言葉に答えるタイミングを逸してしまった。

「ダイル、相変わらず覇気がないな」

「コリーがイキイキしているな」

「あの二人は足して割るとちょうど良いんだ」

獣人達は面白そうに笑っている。

誰もフローくんをいたわっていない。

フローくんの身体が更に縮んだ。


心優しいクロサイが、縮んだワシミミズクにミントティーのお代わりをそっと差し出す。

更にその隣に、シロップの小瓶がずらりと差してあるラックを置く。

「お好みのシロップを入れると良いのだ~」


爽やかミントティーの後に少し甘みが感じられる、そんな繊細な味わいが、ドミーくんオススメだ。

ドミーくんはいろいろな種のハチミツや甘味料をベースにシロップを作り置きしていて、獣人達にも好評なのだ。


フローくんが腕を挙げて、羽毛部分でドミーくんの頭を撫でている。


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