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チーズとはちみつと業務内容

や、や、どうも。どうも、どうも。

マニュくんとコニュちゃんが真面目にきちんと挨拶したところ、ナップルさんは一拍遅れて、どうもどうもと反応し出した。

「全然違いますね。あ、良い意味でですよ。僕はすっかりチーターの方々はああいったタチだと思い込んでいたようです。失礼しました。でもさっき、トレーニングのおわりがけ、少し見ましたよ。堅実な立ち回りで良いですね。心強いですね」

寄合所で対面した猫のような人間と人間のようなチーター獣人達は、大きなネタもなく馴染んだ。


薄いナンにチーズをのせて焼いたものをドミーくんがどんどん作ってくれる。それに、バシンさんがくれたハチミツをかける。噂のナップルさんを見がてら、住民達がそこここで、そのおやつを食べている。


ライオン達のトレーニングに混ざっていたマニュくんとコニュちゃんがシャワーを浴びて寄合所へ戻ってきていたので、みんなでおやつミーティングになった。

後ろでは、ワシミミズクのフローくんが無表情で顔をチーズ塗れにしている。


チーズを伸ばしてはふはふ食べながら、ナップルさんが正面に座る従業員候補に仕事内容の説明をする。

私やナッジくん、レイくんはそれをぼやっと聞いている。

もしかすると、食事に夢中なナッジくんとレイくんは聞いていないのかもしれない。耳だけはぴくぴくこちらをうかがっている。

「まずは支部長が張りきって飛んでいきますからね。僕達は、支部長に戸惑っている人や困っている人に対応すれば良いのですよ」

それは正しいあり方なのだろうか。


私の表情に気づいたナップルさんは続ける。

「大抵の初対面の人は支部長を見て引きますよ。支部長のお得意様や慣れてきた人以外に対応していると、うまい具合に人数のバランスもとれるのですよ。さすが経験の長い方で、支部長のお客様は定期的に来てくれますし」

「そんなものですか」

うまく運用されているなら言うことはない。


「なので、お二人には、僕が取り逃がした人や、遠目で見てそっと帰ろうとする人の捕獲をお願いしますね。竣工式までは屋外臨時カウンターですから、あのエリアに足を踏み込んだ時点で僕達の見込み客です。近くのお店の方々と話はついていますから大丈夫ですよ。建物が完成しても、同じで良いと思いますよ」

ん?

「それは本当にお客様ですか」

思わず聞く。


「収入をもたらしてくれるという意味で、お客です。僕と暇で遊びに来ている獣人達では手が回らないときもありまして。常駐してもらえるなら大分楽になります」

「大盛況なんですね」

マニュくんが感心しているが、そんなはずはない。

中央の本部直営の店は受付に二人もいれば十分だし、店の中以外関知していない。

そもそも王国のあんな治安のイマイチなところに一般客が押し寄せるはずがない。

「早く戦力になれるよう頑張ります」

コニュちゃんが宣言するが、私は疑問でいっぱいだ。

「本当に護衛関係のお客様ですか」


「逃げ出したなかで微妙なラインのときは、とりあえず買取屋のおじさん方のところに連れて行って判断してもらってください。あそこで引き取りNGなら、王国軍の詰め所に連れて行けば良いですよ。それぞれの場所は向こうに行ったら案内しますね。あと、手に余る場合は深追いしなくて良いですから」

「はい」

「わかりました」

んん?

真面目にメモをとるチーター二人がいるが、聞き逃して良いのだろうか。


「あと、詰め所の中に、関わらない方が良いいくつかのタイプの人間がいます。話しのわかる人間を向こうで紹介しますから兵への接触はその人間達だけにするようにしてください。仕事上の注意点はそれだけです。あ、お菓子やチップも注意して、って危ないのはわかりますね。身の安全を第一にしてください」

「混ぜもの以外は自信がありません」

「無臭のものは分からないかもしれません」

「では、不安だったら断ってくださいね」


なんだろう。私が考えていた仕事内容と違うぞ。

私が資金を出したのは、どこにでもある護衛仲介業務を行う組織だったよね。

確かに資金操りがやたらと安定していると思っていたが事業内容を拡大していないか。

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