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腹ごしらえ

んー。んんー。んー。

本当かなあ。


今日もライオン達は日程調整中だと言う。

中央行きを相談してから五日も経っている。

「やあ、コーさん。悪いね。まだちょっと調整に手間取っているようでね」

「ボス、忙しいみたいで。予定が分からないらしいよ。あとすこし時間をくれないかな」

青年ライオン達が言って、爽やかに笑いながら未開の森に入って行く。

私の頭を撫でるサービス付きだ。

トレーニングのために街に来ている青年ライオン達なので森に行くのは分かる。しかし台詞と爽やかさとサービスが怪しい。


このところ中央と街をつなぐ交通機関も減便されている。

利用者が少ないので大勢に影響はないが、何か起こっている。


「仕方がありませんね。今日はマダムのお店で新メニューに挑戦しましょうか」

一緒にいたアレクサンドルさんが、あっさりと商売っ気のない時間を提案してくる。

五日前からずっといる一行は、街滞在最長記録ではないか。

「良いな。ナッジもどうだ」

銀髪の護衛もニッと笑っている。

怪しい。


「ナッジくんならガブルさんのお店のほうが良いんじゃないですか。今日は焼き鳥らしいですよ」

黒髪の護衛もどきが屈託のない笑顔だ。

これだけはいつもと変わりない。


「焼き鳥・・・。コーも一緒か?」

黒いカラカルが、自分がいないと襲われて死んでしまうと信じている私を見る。

街で一手間掛けた料理というものを知ったナッジくんは、すっかり餌付けされている。

「ここは街だから大丈夫だよ。今日はカイくんも一緒だからね」

アレクサンドルさんに奢ってもらうと良いよ。

私がカイくんの腕の上から勧めると、ナッジくんは躊躇いながらそわそわし出した。

「レイくんとドミーくんも行ってくると良いよ」


「いやいや、コーさんもカイさんも一緒に行きましょうよ」

ルーフェスさんが誘ってくる。

にこやかに爽やかに。

この五日、ことある毎に一緒にいたがる。

監視というほどではないが。

やっぱり胡散臭い。


聞かないとしゃべらない傾向にある白オオカミを見る。

「どうした」

「カイくん。私はまだ中央に行くべきではないの?」

白オオカミは質問の意図が分からないという顔をする。

カイくんは知らないらしい。


ナリスさん一行は長期休暇中。

バルドーさん一家はその護衛。

私の中央の主なニュースソースはみんな街にいる。

元小悪党達に連絡してみる手もあるが、安否確認が先だろうか。

まあ、自分の身は自分で守れる人間達だから気にしなくても大丈夫だろう。


「分かりましたよ。おとなしくしています」

私は知りたがりではないのだ。

「ガブルさんのお店で腹ごしらえして、マダムのお店でデザートにしましょう。アレクサンドルさん、ごちそうさまです」

食事は出来るときに出来るだけしておく主義である。

「ナリスさんとバルドーさんも呼んでこなきゃ」


アレクサンドルさんが苦笑いしている。

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