リクの敵対者
今日も短いです
同じような事態が、組合に敵対した政治家に、援助を行っていた全ての企業で起こっていた。
ある企業は上層部の金融商品取引法違反の疑いをかけられて。ある企業は自社製品の効果を、消費者に誤解を招く表現で宣伝したなどの嫌疑で。また、ある企業は単純に幹部の不倫疑惑などで。組合に敵対的だった企業はことごとくそのブランドの価値を落としていった。
組合に対する批判や反論は不思議と出なかった。そして、組合の、いやリクの手は政治家へも伸びつつあった。
「つまり?」
さすがに政治家である彼は、キサラギ製薬会社の部長のように取り乱しはしていなかった。
彼の秘書らしき男が言った。
「組合に敵対的とみなされた企業、実業家、公務員が次々と摘発されています。まだ、政治家に喧嘩を売ったという話は聞きませんが、時間の問題かと・・・」
「それはわかっている。なにより一番に組合に摘発されるとしたら私だろう。他の政治家よりも先に、な・・・・それで?なぜマスメディアまで組合についている?」
「どうも、女、あるいは金、その不祥事を握られている模様です。それでも敵対的な人物は、さらに上層部から圧力がかかっているのか、左遷されたようです」
「我々より、組合についた・・・組合の方が恐ろしいと?」
「その模様です」
秘書はあくまで冷静に答えた。
「なるほど・・・それは粛清が必要だな。これ以上の離反を許さないためにも」
「かしこまりました」
秘書はそう言うと一礼して下がっていった。
「しかし何故だ?どうしてここまでこちらの情報が洩れている・・・内通者か?あるいは第一級霊視官の誰かが動いている?・・・いや、それはないか。奴らは自身の言葉をたがえることだけはない。すると・・・最近第一級霊視官になったリクとかいうガキか?」
男はしばし物思いにふけっていたが、タバコに火をつけると立ち上がって窓から外を見た。
「いずれにしても、霊視官に社会の覇権を握らせるような、そんな危険なことはさせられん。今回の件で組合がいかに危険な組織かに気が付いて、私に協力を申し出るものも出てきている。そう考えれば悪いことではない・・・悪いことではないが・・・・」
結局情報がどこから洩れているのか。それがわからないことに男は多くの不安を覚えるのであった。




