反撃の狼煙
かなり短いです
「どういうことだ!」
ヒノモトでも有数の製薬会社。キサラギ製薬会社。その本社の一室で1人の男が吠えていた。立て続けに報告を上げてきた部下に罵倒を浴びせながらも、彼は周囲に書類をまき散らした。
「で、ですので・・先日部長が霊視能力者組合から買い取った技術で、特許申請を出し、工場の位置、費用の算定、技術者の確保に動いていた案件が・・その、ですね。組合がさらに優れた技術を特許に出したということで・・・・その・・・」
そんなことは彼にも分かっている。しかし、それはありえない。ありえないはずだった。政治家への献金を惜しまず、組合に圧力をかけ、組合の評価を下げる。そしてある程度時間がたった後、そのことを匂わせつつ組合から格安で新薬の生産技術を買い取る。
それが彼の作戦だった。
しかし、その作戦は一瞬で無に帰した。組合が新しい、自身が買い取ったものより、生産性、効果、価格、ありとあらゆる面で優れた技術を特許に出し、組合と提携関係にあるライバル会社と提携して新薬の製造を始めると発表したことで。
当然株価は急落。秘密に取引したことが裏目に出て、自社開発に費用を大量に投じていた。そう思われてしまったことも痛い。キサラギ製薬会社の株価の急落にさらに拍車をかける要因になっていた。
「うるさい!もういい、さっさと仕事に戻れ!」
彼は部下を下げようとした。しかし部下の発言にはまだ続きがあった。
「そ・・それが・・・」
「なんだ!まだ何かあるのか!」
彼は嫌な予感を振り払うように部下に怒鳴った。
「へ、ヘッドハンティングです。組合は本気でうちを潰すつもりなのか、優秀な技術者の大半が組合の関連企業に引き抜かれました!」
部下はやけっぱちにそう叫んだ。
今度こそ、彼の頭の中は真白になった。




