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平々凡々に暮らしたい~異世界転生を300回繰り返した結果~  作者: 活字中毒者
ハジマリの霊視官
73/81

リクの真意

かなり長いです





 組合につき、ツカサたち組合組と合流すると、リクたち合気道組は全員で会議室に入っていった。


 ただ、リクはさすがにジンをこの場に立ち会わせることにためらいを覚え、ツカサに目配せをした後、ジンに言った。


「それで、今から会議を行うわけですが・・・ジンさん。良いのですか?これに参加しても。一応尾行者や追跡者の類もいませんでしたから、今この会議を聞かなければ、一般人のままでいられますが?」


「ハハハハ。面白い笑い話をするじゃねえか。リクの敵はこのキサラギ州そのものをターゲットにしているんだろ?なら、当然俺も当事者として協力させてもらう。口の軽さが心配だってんなら、魔法誓約書も書くぜ」


「いえ、その必要はないでしょう」


 それに対してはツカサが答えた。リクにとっては別に意外な発言でもなかったが、ヒカルは少し驚いていた。ツカサがこうも簡単に外部の人間を信用するとは思っていなかったのだ。


 (ちなみに魔法誓約書とは、霊体に影響を及ぼす誓約書であり、署名した時に約束したことを破れば誓約書が反応して記録に残るというものだ。この誓約書の信頼性は高く、基本的にこの誓約書に書いた内容を破った人間は、社会においてありとあらゆる契約を拒否されても文句は言えない。それほどのものである)


「霊視すれば、あなたがどういう人間か、それぐらいすぐわかりますから。それとヒカル。あなたの時は、勘違いであったとはいえ、疑わしい背景があったのと、護衛として組合の『内部』に入る予定だったので厳しめに行っただけです。『外部』協力員にあなたにしたようなことはしませんよ」


「い、いえ。別にそんな。というか霊視で心を読まない・・・・違う、わかってもそうとわからないようにしてくださいよ」


「?あなたがそういうのであれば」


 ツカサがあえてヒカルの心を読んだような発言をしたことにリクは気が付いた。おそらくはヒカルとのやり取りを見せて、ジンの反応を探っていたのであろう。しかし、ジンは一切気にせず面白そうにしていた。


「なるほど・・・類は友を呼ぶといいますが・・・リク、お前の知り合いはつくづく大物が多いな」


「やめてください。俺の知り合いだから、ではなく師匠の知り合いであるキリク師範の門下生だから、です。俺は平穏無事な生活を望むただの凡人です」


 リクがそう言うと、ジンは面白そうに、キリクとツカサ、そしてヒカルはわかりやすく

呆れながらため息をついた。ちなみに支部長は外出中なので、会議室にいるのはこの5人だけだ。


 一応、会議という体裁をとってはいるが、その実、これはリクによる敵の勢力の対抗戦略の説明会である。ちなみに元々キリクは組合の外部協力員である。


「さて、リク。もはや言うまでもないと思いますが、ジンさんを含め、事情を深く知らない方もいるので詳しく説明しましょう。


まず、今回の一件はリクも察している通り、第一級霊視官になったリク、あなたへの試験です。すでに状況は最悪になりつつあります。このままいけばあなたは降格もあり得ます。


そのうえで、リク、あなたは今回敵への対抗策を示しに来た。間違いありませんね?」


 その言葉にジンだけが驚いた顔をした。


「ええ。まあ。その通りです。このまま計画を伝えればいいですか?」


「いえ、その前にリク。1つ確認させていただきたい。なぜ今の今まで対応を執らずに来たのですか。必要とあれば協力は惜しまない。その意図を組合は何度も伝えたはずです。


無論、試験という手前、直接口に出しては言いませんでしたが、あなたほどの霊視官ならすぐにわかったはずでしょう?」


「対策はとってあります。単純に私が考えるプランの上で、現状が最良の状態であり、計画通り進んでいる。そう私は判断しています。基本的に事態は、私の思惑通りに進行しています」


「一般人に被害が出ているのに最良だと?」


 キリクが少し怒りをにじませながら言った。しかし、リクは微塵もそれには動じなかった。


「ええ、その通りです」


「組合への評価が下がるのも気にしないと?」


 今度はツカサが聞いた。それに対し、リクは呆れるように答えた。


「ツカサさん。なにを言っているのですか。犯罪が蔓延していることに関して評価が下がるべきは、幻影符に踊らされ、ましてや内部抗争を起こし健全な役割をはたしていない警察にある。ご存知でしょう?」


「しかし、一般人の人々はそうと考えず、敵の情報操作に踊らされている人たちも多いわ。組合がだらしないせいだと」


「だから?」


「はい?」


「だから何だというのです。敵の情報操作に踊らされて、組合のせいでないことが常識的に考えて明らかであるはずなのに、組合を敵視する民間人。そんな馬鹿どもを何故、私が、第一級霊視官であるこの私が保護しなくてはならないのです?


ツカサさん、いつからですか?組合が彼らに対して上から目線を向けるようになったのは?


もともと私たちは高位霊視能力者を保護するためだけに、霊視能力の悪用を防ぐ、そのためだけに存在する組織です。敵の情報に踊らされて、組合を敵視する馬鹿どもなど、助ける必要がない。お忘れですか?霊視官規則を」


 リクは強い目でツカサのことを見つめた。ツカサは今までリクから感じたこともないような、強い圧力をその目に感じた。そして、リクの混沌とした感情を霊視した。まるで負の歴史の遺産のすべてを、憎悪も怒りも、悲哀も、なにもかもを詰め込んだようなそんな感情だ。そして、その感情に気圧されて、他の誰もリクに発言しなかった。


「我々霊視官が守るべきは、人ではない、組織ではない、オニの残した理念です。


『霊視官規則 第一条 霊視能力の悪用はこれを防ぐべし。そこに手段は問わない。どんな手段をもってしても悪用を阻止せよ


霊視官規則 第二条 第一条の理念に賛同する人々。これを、第一条に違反しない限り守ること』


つまり、オニの残した理念に賛同しない民間人は我々霊視官の保護対象ではない。それどころか、敵の情報に踊らされ、こちらの発する情報に聞く耳を持たない民間人は『霊視能力の悪用に加担した』とみなし、外敵とみなすべきです。


実際、私は理念に賛同する人々のことは完璧に守っています。彼らに被害はないし、出させません。故に、一切の問題はないと考えます。」


「おい、てっことは、だ。俺みたいに霊視官の理念に賛同するわけでも、敵の情報に振り回されているわけでもなかった民間人はどうなるんだ?」


「さあ?」


 少し不満そうなジンの質問にリクは適当に答えた。


「さあって・・・」


「自分の身は自分で守る。それが基本でしょう?どちらの側につかなくても身を守れる、他人が守ってくれる。そう思い違いしている、あるいは、その自分の身を守るだけの力量がある。自信があるから、周囲の情報に気を配っていないのでしょう?


知りませんよ、そんな人たちのことは。勝手にすればいいのではないですかね?それとも馬鹿な犯罪者の存在そのものが組合の責任だと?そういうのですか?」


「いや、そうはいわねえけどよ」


 リクの捲し立てるように発せられた言葉に、ジンは思わず引き下がった。


「社会で生きるうえで、身を守るための情報収集は基本です。ジン先輩は強い魔法師だったから今までその必要がなかった。それだけでしょう。


それにうちの学校だって、魔法師としての評価を上げることを持ちかけて、女子生徒に身体関係を強要するバカ教師とか普通にいましたよ?俺が影から手をまわして潰しましたけど・・・」


「それは・・・・いや、本当・・・なんだろうな」


 霊視官と一般人では、同じものを見ていても、どこまで見られるかがまるで違う。ジンはそのことをこの時初めて納得した。


「ジン先輩、あなたは実力があって、運もよかった。それだけです。世の中なんて基本腐っていますよ?ねえツカサさん」


「・・・・否定はしない。否定はしないが、だからこそ清浄な社会のためにも霊視官がいるのだと私は思っている」


 ツカサはリクのことを少しつらそうに見ていた。いつもひょうひょうとして、頼りがいのあるリク。そのリクが社会に対してここまで屈折した思いを抱えているとは思っていなかったのだ・


「そうですね。そこは同意します。私の考えとツカサさんの考えで大きく違うところは、私は人間に関して性悪説だと考えていて、ツカサさん、あなたは性善説だと考えている。それだけでしょう」


「私は・・・キミは・・リクは・・根性があって人間の善性を信じている良い子だから他人の人間の感情を直視することに耐えられるのだと、そう思っていたが・・・・どうやら違ったらしいな」


「ええ、むしろ逆です。人間は元が腐っているから、そのことを知っているからこそ、なにも感じない、なにも思わないだけです。


私がみんなのために動いているように見えるのは、少しでも性根がマシな人間が増えれば、自分にとって住みやすい社会が来るから。それだけです。俺は他人のために働いたことなどないし、働く気もありませんよ」


 ツカサは初めて聞いたリクの本音に絶句した。そして同じように、周囲のリクと付き合いの長い人ほど、リクの本心に受けた衝撃が大きかった。


しかし、これは紛れもないリクの本音だ。どの世界の、いつの時代でも人間は争い続ける。それを例えとめる手立てがあったとしてもその選択をしない愚かな種族。


リクは人間が、昔は文字通り大嫌いだった。今はただ、嫌いではない。自分の平穏な生活を送るうえで邪魔をしなければどうでもいい。そう思っているだけだ。


「『オニの遺産』か・・・・」


 ここでキリクが少し疲れたように言った。


「キリク師範。知っていたのですか、師匠辺りからですかね?」


「ああ、昔。レイジがまだまともだったころ、不思議に思って聞いたことがあってのう。何故、霊視能力のランク査定は、通常はSランクまでなのに組合ではSSSランクまではかるのかと、また、何故そこまで自身の霊視能力の維持に拘るのかと。


当時のレイジはまだ今ほど変人でもなく、ただ霊視官らしい、ツカサさんが持つような理想を追い求める若者じゃった。


当時、アイツはこう言ったよ。オニの残した理念を守るためだと。通常のSランクの霊視能力では見られないものをSSSランクになれば、『オニの遺産』から感じ取ることができるのだと。そう言っていたのじゃ。


だから組合には通常の世界基準より高位のランクが霊視には用意されているのだと。


そして、アイツは霊視官補佐から、霊視官へと昇格するときに、それに触れたらしい・・・・」


 キリクの独白はそこでいったん止まった。ヒカルは重圧がかかったような無音の空間に耐えられなくなって聞いた。


「それで、どうなったのですか?」


「ん?ああ、すまない。少し物思いにふけってしまったようじゃ。その後、じゃったな。レイジは・・奴は変わった。おそらく『オニの遺産』に触れたであろう後、奴は1週間近く寝込んでいたらしい。


そして、起きると今までの霊視官としての目標や理念はどこへやら、まるで別人のようじゃった。それからじゃ、奴が変人だのおかしいだの言われながらも、社会への配慮をまるでせずに、まるで自分のことを怖がらせるように、恐れられるように行動するようになったのはのう」


「待ってください!その遺産なら私も見ています」


 ヒカルは納得がいかない。そう言う感情をあらわにしていった。そしてそれはツカサも同じだった。


「ええ、同じく。あれは精神干渉をするような類の呪具の類ではないはずです。それは組合の霊視官が確認していますし、なにより私も一度ちゃんと確認をしています。


あれは強烈な残留思念こそ残していますが、おかしなものではありません。だからこそ一般にも開放しているのです」


 ヒカルとツカサが、キリクの独白が終わると同時に言った。


「だからこそ、必要以上に霊視能力に関して上位のランクを設けているのであろう。そうじゃな、リク?」


「ご慧眼、恐れ入ります。あれはただの霊視官が見ても強い念が込められているとしかわからないでしょう。ただ、SSランク以上の霊視官が見ればまるで別のものとなる。


だから高位のSランク以上の霊視官は、人格が発達するまで、『オニの遺産』を見てはいけない。そう言う決まりがあるのですよ。そして、真の価値はSSSランク以上の霊視能力を持つ霊視官にしかわからない」


「リク・・・あなたのランクって」


 ヒカルが思い出したように言った。


「SSSランク。それも世界最高の、ね。この世界で一番霊視能力が高い人間は、俺だ」


 気が付けばリクの1人称が『私』から、『俺』になっていた。それが周囲の人間にリクが本気であると伝えているようで、『オニの遺産』について知る者は背筋に悪寒を感じた。


 シン・・と静まり返る中、唯一『オニの遺産』について知らないジンが言った。


「あー、その『オニの遺産』?ってのはよくわからんし見たこともないから、あとで見せてもらうとして、リク。結局お前はどうしたいんだ?俺もレイジさんの噂ぐらいは知っているが、お前もレイジさんみたいにすんのか?」


「まさか。俺が求めるのはあくまで平穏な日常ですよ。その為ならある程度敵を潰すのも、馬鹿どもに犠牲が出るのも止む無し。といった感じですかね。平穏な日常を送るためにも、今まで通り仲間は守り、敵は排除します」


 その実、リクは一切変わっていない。変わったのは周囲の対応、リクに対する感情の方だ。リクからすれば、常に目的は1つ。『平穏な日常』


――それを送るために『平々凡々』を装ってみたりしていたが、多少派手に活動するようになっても、行動に変化があったとしても、リクの目標は常にソレだ。


「ってことは、あんまし変わらねえと、そう言うことだな?」


 ジンはリクと付き合いがあまり長くない。だからこそショックも少なくすぐにリクのことを受け入れてみせた。


「ええ、まあ」


「なら別にいいんじゃねえの?俺もリクの言う通り組合に守ってもらおうなんて思っていないし、そんな上から目線イラつくしな。リクの感覚は正常だと思うぜ?


唯一おかしいとすれば、周囲が異常でもそれに振り回されずに正常でいること、だな。どんな遺産なのか知らねえが、有名な霊視官であるレイジさんのことを変えちまうぐらいの遺産に触れて、馬鹿どもの悪だくみに振り回されながらも、冷静に敵を潰す計画を立てる。


リクがおかしいのはそのバランス感覚だけだと、俺は思うがね」


 ジンの言葉はリクへの言葉、というよりこの場にいるリク以外の人間に対する言葉だった。リクはおかしくない。おかしいのは周囲の方だ。ジンはそのことを自分で示してみせた。そしてヒカルがそれに対して強がって応える。


「私も、リクが異常とは思っていません。いや、確かにジン先輩の言う通り、言葉を借りればバランス感覚?ですか、それはおかしいと思います。


私が衝撃を受けたのはそこじゃなくて、リクの図太さです。前々から分かってはいましたが、おそらく『オニの遺産』の負の側面に触れて、それを理解しつつも『平穏な日常』を求める。そのために敵を排除する。その発想に呆れていただけです」


「お前ら・・・失礼。ヒカルにしろジン先輩にしろ、失礼な人達ですね。ま、一応味方でいてくれることに感謝はしますけどね。それで?ツカサさんやキリク師範はどうです?俺の考えを聞いても協力してくれますか?」


 少し、無言の時間が流れたが、先に口を開いたのはツカサだった。


「・・・もちろん、先輩霊視官として、リクの要請があろうとなかろうと、全力で協力させてもらいます。ただ、1つだけ確認させてください。先ほどのリクの霊視官としての発言。あれはオニの意思を踏まえたうえでのリクの意見ですか?それともあなた自身の意見ですか?」


「俺自身の意見です」


 リクは迷わず断言した。というか、正確には迷う必要が無かった。


「なるほど・・・第一級霊視官の方々は、リクと同意見だと考えても?」


「おそらく間違いないでしょう。というか、オニの意思を無視するような霊視官は第一級霊視官にはなれませんけどね。それは先達が常に監視していますし」


「わかりました・・・であるのであればリク。私は今回の件であなたへの協力は惜しまない。惜しむつもりはありませんが、第二級霊視官として、いや、1人のツカサという人間として。


あなたのような未成年者を第一級霊視官にすることを容認し、『オニの遺産』をあなたに見せたことに関しては厳重に抗議させてもらいます」


「ありがたいお話です。が、さらに組合での立場を悪くする可能性がありますが?」


 リクはやんわりと止めるように言った。しかしツカサはそれを聞き入れなかった。ツカサは既に今回の件で、上層部に不満を上申して面倒くさがられている。リクはそのことを知っていた。


「元々、如何に有能とはいえ、未成年者であるあなたに今回の件を一任した上層部、いや、第一級霊視官の方々に私は強い不満を覚えていますから・・・


リクが止めようと私は抗議します。それに第一条に反しない限り、第一条の理念に賛同する人々。つまりリクあなたは保護対象です。私の行動に霊視官としての問題は無いはずです」


「ありがとう・・・とは言いませんよ?私はあくまで、ツカサさんのためにもやめるべきだと思います」


「私のためになるかどうかは、私が判断しますよ。リク」


 ツカサは優しそうな微笑みを浮かべながら言った。その目には先ほどまでにはなかった決意があった。


「ハア、わかりました。了解です。それで?順番に話を聞けたので、キリク師範にも確認したいのですが、キリク師範。あなたは協力してくれるので?」


「その前に1つ、言っておこう」


 キリクはおもむろに口を開いた。


「わしとリク、おぬしの関係はあくまで武闘家としての師弟関係。違いないな」


「ええ」


「で、あるのであれば、例え霊視官として正しい判断をしているとしても武闘家としてのわしの教えを破り、弱きものを危険にさらすことを容認したこと。これに関してわしからなんらかの沙汰を下しても問題はない。違うか?」


「その通りだと思います」


 キリクの弟子である、ヒカルとジンが何かを言おうとしたが、キリクはそれを目で黙らせた。


「無論、今回の一件。傍観をするつもりもない。しかし、わしはおぬしの意見には賛同できん。気に入らぬところがあれば、そして、おぬしがわしの弟子としてではなく、霊視官として動くのであれば、おぬしに気に入らぬと申したうえで別行動をとらせてもらう。構わないな?」


「無論です」


 リクは断言した。キリクはもしリクがこれに同意しなければ、別行動を勝手にとるであろう。それではリクの計画が乱れる。キリクは、気に入らないところがあれば、リクにそう言ったうえで、別行動をとる。そう言った。


それはリクからしてみれば、有難く、そしてキリクにできる最大限の譲歩であろう。リクはそう感じたし、それは決して間違いではなかった。


 キリクは厳しい表情で頷くと、続けて言った。


「『霊視官としての』仕事が終わったら、リク。お前はうちの道場に必ず来い。ツカサさんも構わないかね?」


「え、ええ」


「わかりました。キリク師範」


 ツカサは戸惑いながら言った。リクの先ほどの霊視官としての発言は明らかにキリクの意思と相反するものだ。それでもリクのことを受け入れる。キリクがそう表明したことに驚いたのだ。


 ツカサのその態度にキリクは苦笑を浮かべながら言った。


「何、若人が間違いをおかせば、それを正すのが先達というものだろう。確かにリクの意見は、第一級霊視官としては正しいのかもしれん。しかし、わしの門下生としては正しくない。であるのであれば、リク、体調は整えておけよ。その性根叩き直してくれるわ」


 キリクは組合に入ってから初めてリクに向けて心から笑って見せた。それは好戦的で、リクからすれば喜べたものではなかったが、とても有り難かった。


「ありがとうございます。ただ、1人だと怖いのでヒカルごとお願いします」


「よかろう」


「はい?キリク師範?私は別にリクの意見に賛同とかしているわけじゃないし・・・」


「ヒカルはこちら側の人間だろう?」


 リクがニヤリと笑いながらそう言った。


「なっ!・・こ、この」


「そりゃいいぜ。俺とも組手しようや。ヒカル!」


「うっ・・・はい」


 ヒカルがリクになにか言い返す前に、ジンに無邪気にそう言われてヒカルはしぶしぶ頷いた。


「決まりですね。それでは私の敵の攻撃に対する対抗プランを説明させていただきます」


 そして、ようやくリクの計画の全貌が明らかにされるのであった。







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