ヒカルの苛立ち
昨日投稿できずすみません汗
リクとヒカルは変装して身元を隠しながら、初めて外をブラブラと二人で出歩いていた。変装している理由は、周囲が本格的にきな臭くなってきているからだ。
また、正確には二人で出歩くこと自体は珍しくもなんともない。ただ、目的もなく、単純に外出するのが初めて、という意味である。
「ねえ。なんで今日は組合に行かないのよ」
「仕事が今日は休みだからだけど?」
「休みって・・・結構ヤバい状況なんじゃないの?」
ヒカルは人目を気にして詳細こそ話さなかったが、現状組合に対する嫌がらせは激しさを増している。幻影符が違法に流出し、犯罪者が急増しているのだ。
しかもそれだけではなく、最近では霊視官が無能だから犯罪者を取り締まれないのだという世論が(警察内部から)広まっており、風当たりは日に日に強くなっている。
「ヤバいよ?ヤバいからこそ、こういう休息も必要なのさ」
「ちょっと!」
ヒカルはリクの軽い対応に思わず怒り、そして怒ってから自分が予想以上にイライラしていることに気が付いて動揺した。
その様子をじっと眺めた後、リクが行った。
「・・・・・・キリク師範が言っていたよ。最近のヒカルは焦りすぎて前のめりになっているって。このままだと怪我するから、少しは休ませてくれってね」
「キリク師範が・・・」
「俺もそれは薄々感じていたんだ。本当は霊視すれば手っ取り早いんだけれど、ヒカルにそれはしたくないしね。ま、久しぶりに外出を楽しもうよ」
「けど・・・・それでも私は、早くアンタの護衛として力をつけたいのよ」
思っていた以上に周囲に自分の内心を見抜かれていた。そのことに動揺しながらも、ヒカルは少し力なく言った。
「ほら、騒がない。変装の意味考えてよ」
「・・・・」
少しばかり興奮気味、いや、情緒不安定のヒカルを見てため息をついた後、リクはヒカルのおでこをコツンと指でつついた。
「落ち着けって。焦りすぎ。最近疲労も抜けにくくなっているんじゃない?それでどうやって俺の護衛をするってのさ。それに訓練初めて3カ月たってないぐらいだろ?まだまだ伸びるよ、ヒカルは」
「わかっているわよ・・焦りすぎってことぐらい・・・」
周囲にも気が付かれていたこと、それに気が付かないほど焦っていたこと、そして今はいったん落ち着く必要があること。様々なことを認めたうえで、ヒカルは発言したが、内心ではまだ焦っていることが簡単にリクにはわかった。
(どうしたものかね?)
(明らかにリク様のミスです。リク様が敵への対処を早急に行うあまり、自分の実力を、間を開けずに見せ続けるあまり、自分とリク様の実力の差を実感してしまったのでしょう。リク様がなにを言っても逆効果かと)
と、ミオ。
(あー見るからに精神的に不安定だな。まあ、休ませるのは間違っちゃいねえ。最近コイツは明らかにオーバーワーク気味だったし、それを理解したうえで訓練していたからな)
と、ザク。
(この辺でタケル・・・は逆効果だな。誰かヒカルを落ち着かせるのに丁度いいクラスメイトに会えればいいんだけど・・・)
「ヒカルが自分自身でなんで焦っているのかについて、理解できればいいのだけれど・・・(ボソリ)」
リクはそう言いながら空を仰いだが、ヒカル自身は苛立ちからその言葉に気が付いていなかった。
リクたちは思い思いに振舞いながらもショッピングモールの中を進んでいく。どこのどいつの仕業かはある程度絞り込めているが、こちらから攻めようにもヒカルがこの状況では差しさわりが出る可能性がある。それどころか逆にピンチになりかねない。
ヒカルが悶々としているのと同様にリクも悶々としながら無言で歩いていた二人だったが、ちょうどよくそこでクラスメイトに会った。
「あっ、ハクさんじゃん。おい、ヒカル。ハクさんがいるぞ」
「・・・・え?あ、本当だ」
ハクと呼ばれた少女は小柄で気が弱そうに見えながらも、キサラギ祭で3バカに食って掛かったほど芯は強いヒカルとリクのクラスメイトだ。どうも本屋で高いところにある本を取ろうとして、届かなくて困っているらしい。
普段ならヒカルもすぐに気が付いたであろうが、今日のヒカルは周囲への警戒心しか持っておらず、悪意にしか注意を払っていなかったため気が付くのが遅れた。
しかし、その後の行動はヒカルの方が早かった。見かねたリクが手助けをしようとする前に、ヒカルがハクに手を貸していた。
「はい。取りたかった本はこれよね?」
「あ、ありがとうございます」
少し恥ずかしそうにしながらもハクは答えた。どうやら変装したヒカルに気が付いていないらしい。
「久しぶりねヒカルちゃん」
ヒカルはハクが自分に気が付いていないことを察して、眼鏡をずらして挨拶をする。
「え?あ、もしかして・・・むぐ」
「ごめん。そっから先は一応言わないでおいてくれる?本当に最近きな臭いから」
ハクがなにか言う前にリクがハクの口を押えた。
「・・・っぷは。あ、お久しぶりです。えーっと、ハオさん、それにコウさん?ですよね」
「うっ、まあ」
リクが口から手をはなすと、とっさに思い浮かんだであろう『孤児院の覇王』をもじった偽名で呼ばれて、リクはすごく微妙な表情をした。しかし、自分から身元を隠してくれと言った手前、怒ることもできずリクはしぶしぶ頷いた。
「ックックック。そうね、ハオさん。ここではなんだから場所変えない?」
ここの所思いつめた表情をしていたヒカルが本当に久しぶりに笑った。
リクはヒカルの態度が不本意だったが、どちらにしてもここでは話せる内容ではないので、個室がある喫茶店へと場所を変えることにした。
なんか、短い話でと投稿する内容じゃない気が指摘がしました(今更)
それと、推敲していて地味に小説を書くのが上手くなってきた気がしています。
勿論、まだまだなところもたくさんありますが、リアルの環境の変化で色々考えるところが多くて、この状況ならヒカルはこう動くんじゃないかとか、リクならこう考えるのではないかとか、幅が広がったかなという実感があります。
小説を書くって、何でも自分の糧にできるからいいですよねw
芸術は爆発ではなく、自由だWWみたいな感じです(笑)




