ヒカルの変化
眠い・・・
明日の投稿は体調によっては休みます。
ご了承くださいw
カイルの方は音楽のプロデューサーもしているため、演奏家としての第一線は退いているが、ミスズの方は現役、それも弾き語りを得意とする音楽家だ。それも、先ほど自分でもいっていた通り、世界のミスズと言われるほどの腕前なのだ。できないはずがない。
カナデはギターがあまり得意ではないのか、少し慌てていたが、それでも音大志望のプロの両親を持つ子供だ。大丈夫であろう。
余談だが、この世界では音大に入ろうと思えばピアノではなくギターが上手くなければならない。というか、そもそもピアノがこの世界にはない。
似たようなものはあったが、魔法を使わないため芸術にそぐわないと淘汰された。
そういう背景もあって、音楽大学の入試でピアノではなくギターが使用される。ゆえにカナデは声楽家を志望しているが、それでもギターができないことには始まらないのだ。
なお、音楽高校は無いのか?という話だが、少なくともヒノモトには無い。
基本的にこの世界の音楽では(というかギターを演奏するには)魔法が(正確には思念波のコントロール技術が)関わってくるので音楽大学に進学することを目指している生徒たちは、学校で魔法技術を磨きつつ、自分でギターの練習をすることになる。
逆にコントロール技術を磨くためにギターを始めて、音楽にはまり音大に行く人もいるが、これは完全な余談である。
閑話休題。
そして30分後、リク、カイル、ミスズ、カナデによる四重奏が始まった。
最初こそ慣れないドラムの音に戸惑っていた、カイルとミスズ、それにカナデだったが、そこはさすがにプロ(とプロ志望)。途中からはうまく合わせ始めた。
初見、かつ、ギターがそれほど得意ではないということもあって、カナデはいくつかミスをしたが、全体としてはうまく演奏していた。それは、プロのカイルとミスズが当然巧いということもあるし、なにより・・・
(凄い、凄い、凄い!やっぱりリク君の演奏は凄い!学祭でも聞いていたけど、楽器を使うと打楽器の音がまた一段と違う!)
(リク君、と言ったわね。この子。正確なピッチ。音楽を盛り上げるサウンド。しかも歌って初めて気が付いたけど、声楽にもおそらくかなり詳しい・・・・とても歌いやすいし、ギターのこともちゃんとわかっている。とんでもない才能ね)
(なるほど・・・打楽器に詳しくない私からしてもわかる素晴らしい技術。作曲に作詞も彼自身が行ったもの・・・か。末恐ろしいな。多才な霊視官は確かに多いが、私が知る霊視官でもここまで卓越した才能を持つものはいない。いや、それ以上にまずはこの曲に演奏家として真剣に取り組まなくては・・・)
リクの卓越した技術に3人とも感心していた。いや、3人だけではないもはや空気と化していたヒカルも3人と同じくらいに、いや、3人以上に驚愕していた。そして、この時初めてヒカルの心の中にリクに対する不安が生まれた。
(霊視官としても優秀。仕事もできる。戦闘も強い、音楽も、料理もできる。なんなの?リクは。リクにとって私って・・・・いや、それ以上にリクって私のこと必要なの?)
素晴らしい演奏。卓越した技術。新しい音楽の夜明け。どう言葉を尽くしても言い表せないほどの感動をヒカルは覚えていた。しかし、その反面、素晴らしい演奏への感動とは裏腹に、ヒカルは気が付けばとてつもない孤独の中にいた。
それは、この場でただ1人演奏をしていないからかもしれない。いつも周りで一緒にリクのことに驚いているクラスメイト達がいないからかもしれない。あるいはその全てが絡み合った結果か。
この時ヒカルは初めてリクが才能ある側の人間なのだと疎外感を覚えたのだ。
ヒカルは、急にいつもとなりを歩いているリクのことが遠く感じた。今までは、努力すれば、気功師としての技術を磨けば、いつかヒカルの隣に胸を張って立てる気がしていた。
しかし、リクのキサラギ祭で見せた料理に使用した魔法技術、初めてリクのうちに行った時に目の当たりにした戦闘技術、キリク師範との組手、話に聞いたスカイボールでの活躍、それに今まざまざと見せつけられている音楽への造詣の深さ。
それらを見ていくうちに、気が付けばヒカルの心の底には、今までになかった焦りが育ち始めていた。
気が付けばヒカルはこの場から逃げ出したくなっていた。
何故、私はこの場にいるのか。リクの隣にいるのか。いや、リクの隣にいていいのか。
すぐにこの場を離れたい。我武者羅に訓練をして不安を消したい。早く、もっと早くリクの隣に立ちたい。
私は今までリクに与えてもらうばかりで、なにを返せたのか。なにを返せるのか。自分はリクの言う通りまだ足手まといであるが、その状況はいつまで続くのか。いつになったら胸を張ってリクの隣に立てるのだろう。
唐突に始まったリクとヒカルの関係も、社会に不穏な空気が広まった結果、それに後押しされたのか、新たな段階へと変化しようとしていた。
単純にわあすげえ!
みたいな小説の方が受けるのはわかるのですが、個人的な意見を言えばその手の小説って結構あきるんですよね。
俺でも読者を退屈させないように、こんな私にもすごい!と思わせるものを書いている小説家の方々には頭が下がりますが、私は凡人なのであえて別の方向に進んでみました。
実際凄ければ何でもかんでも小説のようにうまくいくのであれば、現実では苦労しないですよね(しみじみ)
なので今回はあえてこういう方向に話を持って行ってみました。
私は自分で書いているのにリクのことが好きになれず(笑)ヒカルは結構好きなので話の展開が自然とそうならない限り、全力でくっつかないようにすると思うのであしからずw
ではでは




