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平々凡々に暮らしたい~異世界転生を300回繰り返した結果~  作者: 活字中毒者
ハジマリの霊視官
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リクのお菓子

今日は短め。

スマヌ






 リクたちキサラギ第一高校の1年A組の企画は結局のところ、無難なイベントになる・・・・はずだった。


「はい?」


「えーっと、繰り返しますね。うちのクラスは学校上層部からの強い意向でリク君を主体とした軽食屋を行うこととなりました」


 周囲のクラスメイト達もシズクの言葉に戸惑っている。それも当然だろう。リクはキサラギ祭においてはたいして役割はおわないことになっていた・・・はずだからだ。


 クラスメイト達の視線が一斉にこちらに飛んでくるのを感じて、リクは顔を引きつらせながらもシズクに質問をする。


「えーっと・・・ツッコミどころがたくさんありすぎて困るのですが・・・・ボケか何かで?」


「いいえ。違います。なぜかうちのクラスは喫茶店をやることになっています」


「決定事項ですか?」


「決定事項です」


「えー、なんでだよ。そもそもは全く別の案だったじゃん。リク、お前なんかしたのか?」


 ここで自分の案に決定していた男子生徒が言った。それも当然だろう。せっかく自分の案が通ったのにそれを上層部の意向というよくわからないもので無しにされたのだから


 しかしいわれのない叱責をリクが甘んじて受ける理由もなく、リクは当然のごとく否定した。


「じゃあなんでなんだよー」


「その理由なのですがリクさん。あなたは孤児院出身だそうですね?」


 あまり公の場でする話でもないだろうとリクは思いながら、事実ではあるのでリクは肯定する。


「ん?まあ、そうだけど」


 何故そのワードがこの場で出るのか。リクは若干嫌な予感がしながらも肯定した。


「それで昔は小遣い稼ぎに孤児院の皆さんとお菓子を作って売っていたとか?」


「・・・そんなこともありましたね」


 リクの嫌な予感が確信に変わりつつあった。シズクの言葉にクラスメイトの女子たちと一部のお菓子好きの男子が怪しく目を輝かせた気がしたが、リクは気が付かないふりをした。


「それを知っていた生徒会の上層部がですね、ぜひともリクさんにお菓子を作ってほしいと強い要望がありましてね」


「・・・・受けるかどうかは別として、「決定事項です」


・・・・・まあ、それは置いといてちなみにその強い要望を出した生徒の名前は?」


「結構いろいろな方々か『リクさん印のお菓子』の話を知っていましたが「そんなものはありません!!」


・・・・そうですね、やっぱり一番は生徒会長のアヤメさんですかね」


「アイツか!」


 リクは思わずといったかんじで立ち上がって叫んだ。


 この世界で孤児院出身の子供は珍しくもなんともない。理由として、孤児院が制度としてしっかり整備されていること。


 それに子供の内は魔法をコントロールできず暴発させる人も結構いるので、家の修理などで家計が火の車になり、子供を孤児院に預ける親が結構いることなどがその理由だ。


 また、国の法律でも『一定以上の収入以下の家計で、魔法を暴発させる子供がいる家』は強制的に子供を孤児院に預けるよう決まっているのだ。


 もっとも大半の家ではその前に魔法の暴発などで家の修繕費などがかさみ、素直に子供を孤児院に預けている。社会全体で子育てをするという意識がしっかりしているのだ。


 閑話休題。


 無論、無責任な親が孤児院に子供を預ける場合もあるが(リクはこっちの方である)、親が普通にいて孤児院に住んでいる子供はかなり多い。そういう意味では『孤児』院とは言えないかもしれない。


 アヤメもその1人で、魔法を暴発させまくるくせに魔法の訓練が大好きだった。リクにとっては頭の痛い孤児院での後輩(年は当然のごとくアヤメが上であるが入ったのはリクの方が先)である。


「え?リク、アヤメ会長と知り合い・・・というか同じ孤児院だったんだ。羨まし~、今度紹介してよ」


「マジか!うわ~、高嶺の花のアヤメ様と知り合いとか・・・ヒカルちゃんとも仲いいみたいだしリク許すまじ」


「アヤメ会長奇麗だし、格好いいよね~。憧れちゃうな~」


 周囲の反応に呆然とするリク・・・だったが人造魂魄たちも驚いていた。


「これは・・・」


(誰の話だ?)


 とザク。ザクは魔法の暴発があまりにも酷いのでリクと一緒にアヤメの体質改善を行っていたのだ。主にリクの安眠のために・・・


(ん、食い意地の悪い女。作り途中の料理、一杯つまみ食いされた。アイツキライ)


 とミサ。珍しく不機嫌である。ミサは基本的においしそうに自分の作った料理を食べてもらうのは好きだったのだが、つまみ食いされて料理の工程を乱されると途端に不機嫌になるのだ。


(ふむ。なかなか気骨のあるおなごで、己は嫌いではなかったがのう・・・もっとも『医』と『食』のが嫌うのはわかるが・・・)


 とケン。


(なかなか創作意欲を掻き立てられる面白い子供でしたね)


 とリサ。リサはミサとザクとは反対にアヤメのことが結構好きである。それでも一回製作途中の楽器を壊されたときはかなりキレて、リクが大変だったのだが・・・・


(・・・・う、記憶が。まさか『知』の私があれほど振り回される子供いるとは当時は思っていませんでしたね)


 ミオとリクは当時キレたり不機嫌極まりなかったリサ、ザク、ミサの3人を一緒になだめた中であるが、当時のことはもはや思い出したくもなかった。


 リクが周囲の反応に呆気にとられる中、アヤメがリクに声をかけた。


「そういうわけでリクさん。クラスで出し物にできるか確認するためにも、可能なら今からなにかおやつを調理室で作ってもらいたいのですが、いいですか?」


「はい?・・・って、ああ試作か。っていうかどちらにしても俺はやるとは」


「では決を採りましょう。『リクさん印の喫茶店』賛成の者は起立願います」


 お菓子好きの『リクさん印のお菓子』を知っていたグループと、アヤメのファン。つまり、リク以外のほぼ全員の生徒が一斉に立ち上がった。


「では決まりです。私たち1年A組は『リクさん印の喫茶店』を行うことになりました・・・はい、拍手ありがとうございます。では早速リクさんの試作品をみんなで食べるとしましょう。


ああ、アヤメさんの意向で材料は一通り買ってありますし、調理室の許可も得ていますのでご心配なく。では時間もないので行きましょう」


 シズルは担任にそう断るとさっさと荷物をまとめ調理室へと向かった。ただ2人、護衛のヒカルと担任の教師がリクに同情の視線を向けているのであった。






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