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平々凡々に暮らしたい~異世界転生を300回繰り返した結果~  作者: 活字中毒者
ハジマリの霊視官
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指名依頼

ちょうどいいところで区切っているので話の長さが安定しない・・・orz






 一夜明け、土曜日。


 (この世界も週休2日、一週間は7日間である。リクのいる国では土曜という言葉はないが、そもそも言語が違うので近い日本語に訳して記述する。単位や通貨も違うが、日本に合わせて訳すことにする)


 昨夜は夜遅くまで起きていたので、若干眠いがブラックコーヒーでごまかしながらリクは活動を始める。


 まずは朝食。休日ということもあって『食』の人造魂魄、ことミサの言う通り作業をする。


 式神(人造魂魄のもとになったもの)が一般的な技術である世界であれば、式神に各人造魂魄を憑依させて自由にさせるのであるが、この世界では一般的な技術ではない(というか、式神のある世界は、式神の開発者である天才がいた世界と、リクがうっかり漏らしてしまった世界しかない)ので、自分で行うしかない。


 もっとも、魔法自体は各人造魂魄も使えるのでそれでも十分楽なのだが、その分各人造魂魄は凝り性なので結構大変なのだ。


「いただきます」


 ご飯を食べながらTVでニュースを確認する様はさながら休日のサラリーマンである。


 ご飯を食べた後は『戦』の人造魂魄、ことケンに促されるままにランニングと武術、魔法訓練。休憩をはさんだのち、ミサの促すままに昼ごはんの買い物と下準備。


 そうしてようやく自分の時間がやってくる。


 そのあとは『芸』の人造魂魄であるリサとともにギターの練習である。


 ちなみに、この世界におけるギターは地球のものと大きく異なる。弦に思念波感応素材(魔法によって剛性が変化する素材)を用いられているので、流す思念波の波長によって音が変化するのだ。


 この時間がリクにとって、最も癒しの時間である。訓練も料理も嫌いではないが、ケンもミサも全力投球を求めてくるので気が休まらないのだ。


 その点、『芸』の人造魂魄であるリサは、「芸術は心に活力を与えるモノ」という考えを持っているので疲れていればその辺を考慮してくれるため、その辺が気楽なのだ。


 そうしてゆったりとした時間を過ごしていたリクであったが、厄日であるのかなんなのか・・・とにかく邪魔が入った。


 ピンポーン。ドアベルが鳴ると同時にリクの表情が曇った。それは自分の癒しの時間を邪魔されたからでもあるが、なにより・・・


(ミオ・・・それ本当?)


(嘘であってほしいという考えはわかりますが、本当です)


(マジか・・・)


 はあ、とため息をつきながら、リクはしぶしぶといった感じでギターを置いて玄関へと向かった。


 扉を開けるとそこにいたのはリクとミオが霊視で完治した通りの男性だった。


「おはよう、リク」


「おはようございます。ミクルさん。今日は突然どうしたのですか?」


「キミにちょっと頼みたいことがあってね」


「今月分の仕事は終えている、どころか規定をオーバーしているのですが・・・」


「ああ、昨日の夜も仕事だったらしいね。まあ、その話は中でさせてくれないかな?キミも変に疑われたくはないだろう?」


 舌打ちをしたいのをグッとこらえながら、リクは中へとミクルともう1人の顔を隠している男を促した。もっとも発している思念波こそ幻影符でごまかしているが、リクには誰だか検討が付いている。


 リビングに入り座るように促した後、リクはあえて紅茶ではなくジンジャーティーをいれて二人の前に置いた。


「それで?何の御用でしょう?シゲルさん」


「ちょっと?俺がジンジャー苦手なのわかっていてこのチョイスしているよね?リク君」


「それで?何の御用でしょう?シゲルさん」


 リクは当然のごとくミクルを無視して顔を隠している男に声をかけた。


「ふむ。やはりばれるか。さすがの瞳力だな、リク君」


「瞳力なんて大げさな・・・ただの推理、と言うまでもない手品のようなものですよ」


「そうかい?」


 フッと軽く笑いながら、シゲルと呼ばれた男はジンジャーティーに手を付けた。


 シゲルは簡単に言えば警察長の官僚である。本来ならばリクがかかわることはまずない人物であるが、とある伝手でリクはシゲルを知っていた。ちなみにミクルは一応リクの霊視官としての兄弟子、ということになる。


(相変わらず、すごいな・・・この人は)


 服の上からでもわかる盛り上がった筋肉。それとは裏腹に礼儀正しい所作。密度の高い霊体。シゲルという男を構成する1つ1つの要素の格が、常人とは圧倒的に違う。


 300回転生してきたリクから見てもシゲルの肉体と霊体は素晴らしく鍛えられていて、称賛を贈るに値する。


 一口、ジンジャーティーを飲んだ後、シゲルは満足そうにうなずいた。


 リクの中にいる人造魂魄たちも周囲の状況を把握しているので、シゲルの様子にミサが嬉しそうにしているのをリクは感じた。


(ミサは無口に加えてプライドも高いから、めったなことでは感情を表に出さないのだけれど・・・ミサもこの人のことを認めている、ということか・・・)


 その隣で無礼にならないようにと恐る恐るジンジャーティーに口をつけたミクルも、飲んだ後驚いた表情になり、おいしそうにジンジャーティーを一気飲みしていた。


 無礼なミクルの飲み方に呆れながらも、シゲルは話始める。


「実はリク君に頼みたいことがあってね」


「それは警察からの追加の仕事、ということですか?」


「いや?あくまでお願いであって、話を聞いてから断ってくれても構わない。無論、引き受けてくれたら報酬ははらう。ああ、カンジの件は私も聞いたよ。すでに叱責しておいたから今後は似たようなことは無いと思うよ」


「ありがとうございます。しかし、仕事でないなら、話を聞く前にお断りしたいのですが・・」


「そう無碍に扱わないでくれたまえ。今回、リク君。キミにお願いをしようとしたのは、キミの師匠の提案でね。彼が言うにはキミなら今回の問題を解決できるというのだ」


「なら、なおのこと私が話を聞く必要はありませんね。師匠には世話になったことよりも、面倒ごとを押し付けられた回数の方が多いですし・・・」


 そう言いながらリクはジンジャーティーを一口飲んだ。これで話はおしまい、そういうポーズである。しかし、視線を上げた時シゲルはむしろ驚いたような顔をしていて、逆にリクは一抹の不安を感じた。


「・・・なんでしょう?」


 その隣で面白そうに笑っているミクルを不快げに眺めながらも、リクはシゲルに問いを投げかけた。


「いや、なに。私は仕事の関係上キミの師匠と関わることも多かったのだが・・・」


 そこで止まったシゲルに対してリクは聞きたくなかったが、仕方なく視線で続きを促した。


「・・・キミの師匠に対して、下手に出て、裏をかこうという人間や、畏怖の感情を抱く人間、策を弄する人間は見たことがあれど、キミのようにはっきりと彼を拒絶する人間は初めて見たのでね。


彼の弟子たちも、尊敬や畏怖。そういった感情しか見せなかった。なにせ世界最高の霊視官だ。悪意をもって利用しようという人間は、簡単に裏をかかれるし、残る人間は彼に対して畏怖や尊敬の念を抱くものばかりさ」


「・・・周りがいいように翻弄されているだけでしょう。あの人ほど人が悪い人はめったにいませんから」


「なるほど・・・彼が気に入るわけだ」


「やめてください。冗談にしても言っていいことと悪いことがあります」


 リクは本気でそう言ったが、言った瞬間自身の失敗を悟った。どうやらリクは一層シゲルの注目の的になってしまったようである。


「まあ、聞きたまへ。悪いようにはしないよ」


「すでに現状が自分にとっては悪い方向に進んでいるとしか思えないのですが・・・」


「アッハッハ」


 二人のやり取りを静観していたミクルであったが、ついに限界を超えたようである。ミクルは思わずといったかんじで笑い始めた。


「いやー、すみません。リク、諦めろ。シゲル様は常識人に見えて師匠と同類だ。気に入られた時点でお前の負けだよ」


「・・・ミクルのことは後でしかるとして、おおむね彼の言う通りだ。私は既にお願いがどうとか関係なく、キミのことが気に入り始めている。


無論、きちんと対価は払うつもりだが、キミを手放すつもりは、ない。警察は有能な人材を遊ばせておくだけの余裕はないのでね」


「・・・ハア。わかりました。とりあえず用件だけは伺いましょう。ただしお願いを聞くとは言っていませんからね」


 なかば諦めながらも、最後の抵抗を試みるリクであった。






基本的にプロット通りに話が進まない病を持っている私なので、最初は話の作りこみが微妙かも・・・

つまらないならそういう評価でもいいのでしてくれると励みになります。

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