戦闘後
本日一話目
自分の研究の邪魔をされて不満そうなザクと、その協力をうけたリクの迅速な治療によって、幸いにも後遺症が残るようなけがをした者はいなかった。
ただ、全治2,3日程度の怪我を負っているものいる。
どこの部員か、はあえて言わないが、怪我で安静にしなくてはならない。つまり2,3日部活を休まざるを得なくなったことを知って喜んでいるものもいたので(隠そうとしていたがリクにはバレバレだった)リクはこれ以上、今回の話を気にしないことにした。
しかしヒカルの方は気まずそうな顔をしていた。ヒカルだけは自身の魔法適性を考えて風の障壁用の魔道具を使用していなかったが、クラスメイトとリクは当然使用していた。
戦闘演習を行うときは基本的にその結界が切れたら試合終了なのだが、ヒカルの攻撃は障壁をぶち破って一撃でクラスメイト達を気絶させていたのだ。
もっとも一概にヒカルだけの責任とは言えない。これはヒカルが(というかヒカルの対戦相手が)組合での訓練時に使用していた障壁が学校のものより数段上のものであったことも原因の1つである。
障壁を破るのに必要な力が1.5倍から2倍程度違ったため、感覚が狂ったのである。
ヒカルはリクに指摘されてようやくそのことに思い至ったようで、教師と対戦相手に今謝罪をしていた。
もっとも男子からすれば(無論女子にも言えることだが)良いところを見せようとした美人な転校生に、コテンパンにやられた挙句謝られたのだから、さすがに顔が引きつっていた。
ようやく手当てが終わったところで教師が手を叩き、空気を引き締めた。
「さて、私にとっても予想外のことだが、当然のごとくリク、ヒカルチームの勝ちである。本当はこの後も対戦形式の試合をしようと思っていたが・・・(教師がクラスの生徒達を見ると大半は首を横にブンブンと振っていた)・・・
これ以上怪我人を増やしたくもないので、少しばかり座学をしようと思う。こらソコ。不満を言うならヒカルと対戦するか?・・・
よし、反対意見のものはいないな、というわけでヒカル!よかったら気功術について詳しく教えてくれないか?申し訳ないことだが私自身も詳しく無くてな。ヒカルが来ると聞いて資料を漁ったのだが学術的な資料はほとんどなくてな」
ただ1人タケルだけが不満そうな顔をしていたが教師はそれを丸きり無視した。
「いいですけど、私よりリクの方が説明美味いですよ?霊視で客観的に見えている分、多分私より気功術に関して詳しいですし」
「あ!あの・・」
そこで尻すぼみになりながらも1人の気の弱そうな女子生徒が手を挙げた。
「ん?なんだ?ハク?なにか質問か?」
「え、えっと。そのできれば・・・なんですけど、ついでにリク君にさっきの霊医の技術について話を聞けたらなぁ、って思いまして・・・あくまでできれば、でいいんですけど・・・」
「なるほど・・・よくよく考えれば第一級霊視官の講義なんてめったに聞けるものではないしな・・・ふむ、時間もあることだし、よかろう。リクの方はどうだ?」
「お・・私は構いませんよ」
「ふむ、では頼む」
若干仕事を押し付けられた気がして、リクは不満そうにヒカルを見たが、ヒカル自身も客観的な意見を聞きたいのであろう。真剣な目をしていたので、リクは説明を始める。
一時期、いくつもの世界で立て続けに「まともな社会になってほしい」という願いを込めて教師をしていたリクは、実のところ人にものを教えるのが嫌いではなかったし、普通に教えるのもうまい。
無論クラスメイト達や教師たちはそんなことは知らないが、リクの授業は世が世ならかなりの金がとれるレベルなのだ。
「ではまず、気功術の方から。一般に気功師と聞くと負のイメージが付き添いがちですが、それは何故か?そもそも彼らは、なぜ他の魔法師には使えない魔法が使えて、普通の魔法が使えないのか?その理由は魔法適性にあります・・・・・・
リクの授業が始まった。
教えるのがうまいし、その高い霊視能力で指導をするのがうまく悪いところをすぐに教えてくれると評判になり、以降もだてつづけに時間がある時はリクが教師役をするようになったのは、この授業がきっかけである。
そしてリクはこの授業についてあとからかなり後悔するのであるが、それはまた、別の話である。




