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平々凡々に暮らしたい~異世界転生を300回繰り返した結果~  作者: 活字中毒者
ハジマリの霊視官
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ヒカルの実力





 開始の合図とともにヒカルが『自己加速』を使用し、矢のように飛び出した。


 単純に気功術について詳しく知らなかったのか、あるいは護衛役のヒカルがリクから離れて突っ込んでくるとは考えていなかったのか、どちらにしてもAクラスの面々の初動は一瞬おくれた。


 気功術は文字通り『人間の体そのもの』という特殊な魔法適性を持った者のみが扱える魔法・・・というか特異体質である。気功術師には通常の魔法が使えず、通常の魔法師には気功術は使えない。


 また、気功師には遠距離攻撃魔法ができない代わりにいくつかの利点がある。


 気功術の利点、その1。発動が速い。単純に同じ位置、同じ座標に存在する霊体から肉体に向けて思念波を飛ばすだけなので発動が圧倒的に速いのだ。『速度』評価がSランクの魔法師でようやく対応できる・・・かもしれない、くらいの差がある。


 実のところサンプル数があまりにも少ないので正確なことは言えない。なぜなら基本的に気功師の大半は反社会的な活動を行っていたがゆえに、物量で圧殺されたからだ。


 そして、文字通り格の違う速さでAクラスの面々は一瞬で二人倒された。ヒカルが新しく覚えた技『発頸』によって。


 気功術の利点、その2。近接戦闘に圧倒的に強い。この世界の住人は基本的に魔法で外敵を倒してきたので、身体能力で敵を倒す、という発想がほとんどない。


 具体的には『スカイボール』という競技が登場して、各国が率先して広めるまでは、体を鍛えていた人たちが野蛮だと言われるくらいである。


 実のところ、『スカイボール』の元となった軍事教練そのものが気功術の有用性を認めた軍人が、なんとか魔法で気功術を模倣しようとし、空戦部隊を作ったモノに他ならない。


 結果としてその部隊が圧倒的な戦果をほこったため、慌てて各国が特務部隊として増設し始めたという歴史を持つぐらいなのだ。


 魔法の発動が速いこともあり、その魔法で体そのものを加速して突っ込んでくるという珍しい戦法もあり、ヒカルを止められる生徒はいなかった。


 そしてなにより『発頸』――これはツカサが使った『霊撃』を模した魔法・・・というか、気功師の『発頸』を霊視官が模した魔法が『霊撃』なのだが、これは、訓練した軍人でも普通に受けたらまず昏倒する魔法である。


 具体的には『自己加速』で加速したパンチと同時に、相手にぶつかる瞬間強烈な思念波を送り込むという魔法である。ツカサが使う『霊撃』はせいぜい霊体の活動を阻害するぐらいのものだが(それでも当然強い)、ヒカルが使う『発頸』は、物理的なダメージとともに、霊体の活動阻害、それに付随し各内臓の機能を低下させ、回復を阻害する。


 気功師は『自分自身』という魔法適性を持つ魔法師。『自分自身』とはいいかえれば『人そのもの』ということであり、効率は悪いがその気になれば気功師は他人にも『飛行』などの魔法を(あくまで理論上は)施すことができる。


 そこまで熟練した気功師がおらず、基本的に気功師は霊視官以上に人間嫌いが多かったためそのような事例は(この世界ではまだ)確認されていないが、理論上は可能だ。


 つまりヒカルは自分の『人そのもの』という魔法適性を生かし、ただでさええげつない『発頸』に『魔法で相手の回復を阻害する』というオリジナルのアレンジを加えているのだ。なお発案はツカサだ。リクの身の安全を案じているということもあり、ヒカルの戦力になればと仲直りのしるしにこの理論を託していた。


 その時ツカサはすごく微妙な顔をしていたが、有用な理論であることに間違いはないので習得に励んだのだ。


 もっともヒカルが『有用』だと判断したのは『飛行』をリクにも施せるかもしれない、逃げるときに役立つかもしれない、という点である。使ってはいるがこの『発頸』の追加効果はやりすぎだと思っている。


 立て続けに3人目、4人目が倒された。実はもともとスカイボール部のレギュラーであったヒカルは、気功術を覚えてからはまさに水を得た魚、鬼に金棒だ。


 魔法師としては優れていても、近接戦闘訓練などしたことが無い普通のAクラスの面々が敵うわけもなく瞬殺された。


『アースウォール!』


『『『『『『アースニードル!』』』』』』


 このままやられるわけには行けない!そう思った残る六人が一斉に魔法を放つ。


 『アースウォール』――1人が魔法で自分たちを壁の上へと移動させる。自分たちがたっている地面を操り、2mはあろうかという壁の上に彼らは立った。壁の分の土は堀としてヒカルのそばの地面を掘り下げている。自分たちに優位な地形に戦場を変えたのだ。


 そして残る5人からの『アースニードル』――ヒカルがたっていた地面がいきなり隆起し、土の槍がヒカルへと突き刺さった・・・・かに見えた。


 気功術の利点、その3。耐久力が明らかに高い。『身体硬化』によって、ヒカルはダメージを負ったものの、『アースニードル』をほぼ無傷で凌いだ。


そして『飛行』の魔法によって壁の上まで一瞬でたどり着き、ものの数十秒で残りの6人を殴り倒した。


 気功術の利点、その4.地形状況に移動速度が左右されにくい。文字通り『飛行』が使えるために、足場が悪くても問題にしないのである。


 つまり、Aクラスの生徒たちの判断ミス、というより知識不足である。


 なお、一応『土』の魔法適性を持つものは少ないのではなかったか?という疑問に答えておくと、魔法適性とはあくまで『得意な魔法』のことで、他の属性より劣る威力でも使える人は結構いるのである。


 一瞬でついた勝敗に呆気にとられるクラスメイト達と実技教師だったが、ヒカル自身と、ヒカルの実力を知るリクは渋い顔をしていた。


「お疲れ様」


「ありがと、でも全然まだまだね」


「うん、気合入れすぎ。そしてやりすぎ。動きにも魔法にも無駄が圧倒的に多いね。それに途中から俺の護衛を忘れていたでしょ」


「だって、それは明らかに私に注意が向いていたし・・・」


「授業だからいいけど、護衛役の注意を囮役に引き付けて霊視官をさらうなんていうのは、昔からの古典的な手なんだから気をつけてよ」


「わかっているけど・・・あなたの霊視が敵を見逃すことなんてあるの?」


「凄腕の術者になれば、ね。もっとも組合の身内でしか見たことないけど・・・」


「で、しょうね。そもそも敵にばれないように思念波を隠匿するなんて技術、霊視官の協力がなきゃできないし・・・」


「あたりまえだけどキミには覚えてもらうからね。ヒカル」


「ハイハイ。修行には付き合ってよ」


「わかっているって。じゃあ今日から本格的に訓練しようか」


「わかったわ」


「と、言うわけで、先生。もう一度・・・じゃなくて、怪我人の手当てをした方がいいと思いますが?それとこちらの勝ちでいいんですよね?」


「あ?ああ、もちろ・・・って、いかん。保健委員!手伝え!早く手当てをしないと!」


 教師とAクラスの生徒たちはようやく再起動した。


「起きろ!って気絶している?」


「動かさないで!そーっと、そーっとよ」


「これヤバくね?泡拭いているよ!コイツ」


 クラスメイト達は再起動こそしたものの、教師も含めてかなり慌てていた。


「あれ?私ってもしかして、やりすぎ?」


「だから言ったんだ。ここのところのヒカルの訓練相手は凄腕の人たちばかりだぞ?相手はAクラスとはいえ高校生なんだから、もっと手加減しないと。それに授業用の保護障壁が組合のものと同じだけの強度を持つわけがない


・・・しゃーない、本職ではないけど霊医の真似事でもしますかね。手伝え、ヒカル」


「え、ええ」


 ようやくやりすぎたことに気が付いたのか、少し気まずそうにするとヒカルは急いでリクの後を追った。









主人公が何もしない・・・orz

初タッグの意味よ・・

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