リクとヒカルの初タッグ
本日一話目。
これから更新が都合により乱れる(かも)しれません。
ただ一日当たり3000字前後、話によっては(キリが悪い場合など)それ以上というペースは守っていきたいと思っているので、更新が乱れた場合長い話が増えると思います
翌日。魔法の実習授業がある日。周囲の反応を見て、リクたちは考えを改めた。
クラスメイト達を軽く挑発して本気にさせ、実力を見せつける。それによって、外部の「自分の推薦する護衛をつけろ」とうるさい奴らを(すでにそう言うやつらが出はじめていた)黙らせる、というのが当初の計画だ。
これにより、リクに権力目当てで不用意に近づくアホを減らすという狙いもあった。
ただ、この数日間、周囲のクラスメイト達と過ごして霊視した結果、普通に事情を説明して模擬戦を行った方がいいとリクとヒカルは判断した。単純に彼らが想像以上にいい奴らだったのだ。
ここのところ性根の腐った大人の陰謀に巻き込まれていたため感覚がマヒし、攻撃的になっていたことにリクたちはようやく気が付いたのだ。
だが、早速そのことを後悔し始めていた。
無論、予想よりとっつきやすいと感じて、事情を理解した上で、冷静に対応してくれるクラスメイトもいないわけではない。反面、冷静にそのことを判断している生徒たちは逆にリクたちのことを警戒し、気合が入っている。
しかし、それ以上に・・・
「ぶっ潰す」
「これは八つ当たりのチャンスだ。全力でかかろう」
「おう!」
「だな!アイツのせいで昨日の・・・いや、これからの練習は死ぬほどキツイのが決定したんだ」
「うむ。この恨みはらさないでか」
この数日間スカイボール部の練習で地獄を見せられていたスカイボール部員たちが、話を聞いて箪笥だと言わんばかりに目をぎらつかせていた。
「えっと。あの人たちの視線、クラスメイトに向ける視線じゃないと思うんだけど」
ヒカルは引き攣ったように言った。
「知るか。俺のせいじゃないし、下手に怖がられるよりましだろ」
「確かにそうだけど・・・」
ヒカルはもう一度クラスメイト達を眺めてため息をついた。
「ハア・・・一応無駄だと思うけど言っとくか。あの、皆さん私たちのことに巻き込んで申し訳ないと思うのですが・・・一応魔法実習授業ですからね?」
「だいじょうぶだよ。ヒカルちゃんは狙わないから」
「うむ。われらの標的はただ1人。後ろの男のみ」
「いや、私護衛だから防がざるを得ないんだけど・・・・ハア、ま、いいか。いい訓練になるし。でもいいの?あなたたちここで体力使ったら、部活がさらにきつくなるんじゃない?」
「うぐっ!」
「い、言うな!」
「確かに・・・もしかしてここで疲れたらさらに部活が地獄じゃね?」
意表を突かれた。というか考えないようにしていたのであろう部員たちをよそに、タケルは笑いながら言った。
「ハッハッハ。大丈夫、ここで本気出そうが出さまいが、地獄なのには変わりないから。それに部活のことを考えて実習力抜いたとかばれたら、アスカ先生やジン部長がさらに地獄のメニューを課すのはわかり切っているし」
「いっ、いうなー」
「・・・・・考えたくない」
「大体部外者の一言で練習メニューきつくなるとかおかしいだろ・・・」
「ん?なにか言ったか?言いたいことがあるならジン部長に俺が・・・」
「「「「サー!ノーサー!我々はあくまで全力で授業に取り組む次第であります!」」」」
タケルの言葉に、軍隊よろしく背筋を伸ばしたスカイボール部員たちが声をそろえてそう言った。
「ん?そう?ならいいけど・・・」
「あいつ・・・ドSね。いやきつい練習自分からやるあたり実はドM?」
ヒカルがタケルのことを呆れた目で見つめていた。
「さてね。あいつの性癖とかどうでもいいよ。けど、とりあえず一番注意しなくちゃならないのはタケルだ。気を付けろよ?」
「わかっているわよ、リク。只者じゃないのは」
そこに実技教師が現れてリクたちに再度確認する。
「いいんだな?10対2のハンデマッチで」
「ええ」
とリク。
「かまいません。護衛としての訓練、かつ実力の証明のためですから」
とヒカル。
「せめてあいつらの魔法特性ぐらい知っていた方がいいと思うが?」
「必要ありません。襲撃者の魔法適性が分かっていることなんてありませんし、その方が訓練になりますから」
ヒカルは自信をもってそう答えた。彼女の瞳にあるのは蛮勇ではなく決意だ。同年代で最高レベルのAクラス相手に後れを取るようではそもそも護衛なんてやっていられないのだ。うるさい外野に言われるまでもなく。
「まあ、うちの護衛がそう言っていますから。それにあいつらもヒカルが戦うところを見たことが無いのですから五分五分ですよ」
「ふむ、なら構わないが・・・怪我だけはせんようにね」
教師はそう言って離れていった。どうやらリクたちが勝てるとは思っていないらしい。
まあそれも当然かもしれない。魔法が使えない、気功師とはいっても1、2ヶ月しか訓練していないヒカルと、霊視能力が高いだけの、Cランクレベルの『放出』能力しかもっていないリク。普通に考えて結果は明らかだ。
「まあ適当によろしく頼むよ」
「わかっているわ」
しかし、それにも動じずヒカルとリクはいつも通りだった。もっとも本当にいつも通りなのはリクだけで(戦闘の前にいつも通りという時点でリクはおかしいが・・・)、ヒカルは平常心とは程遠かった。
かつて魔法の授業で虐められた記憶は未だに消えておらず、その記憶が彼女の体を震わせる。しかもリクがいるとはいえ前とほとんど同じ状況だ。いや、リクは護衛対象で、前線に出られず守らなくてはならない以上、状況はかなり悪い。
「大丈夫。ヒカルはこの俺が認めた護衛だぜ?あいつらなんて蹴散らせる」
「っツ」
思わず振り返るとそこには安心させるような笑みを浮かべたリクがいた。
「なんのことよ?」
ヒカルは強がってなにも考えていませんよといった風に言った。
「別に?なにも?」
リクはなんのことかと言わんばかりに言った。
(嫌な奴・・・私の過去のデータや心境なんてわかり切っているだろうに・・・)
精神的なダメージを受けるような出来事にあったことはないと、初めて会った時、リクにはそう言った。しかし組合の力を肌で感じた、リクの力の高さを知った、今のヒカルならわかる。
リクがヒカルに起こった出来事を知らないわけないのだ。いや、たとえ知らなかったとしても戦闘訓練のたびに秘かに恐怖心を抱いていたヒカルのことを、リクは霊視していたのだ。過去に、魔法が使えなかったときに、なにかあったのだと気が付かないはずがない。
それでもなにも気が付いていないかのように、自分に接してくれる。自分のことを信頼して護衛にしてくれている。ヒカルは、自身でも意識していなかったが、そのことがたまらなく嬉しく、そして気が付けば美しく微笑んでいた。
「いくわよ。せいぜい邪魔しないでよね」
「わかっているって。前衛は任せるよ、ヒカル」
リクとヒカルの様子を見て女子は羨ましそうに、男子は悔しそうにしていたが、リクとヒカルの二人はそれが何故だか気が付いていなかった。
「それでは、試合はじめ!」
教師の言葉を合図に、リクとヒカルのでんせつ初の戦いが、今ここから始まるのであった。
我にポイントを~!
恵んで下され!(笑)
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