ヒカルの気持ち
本日1話目
シーンとした空気がリビングには満ちていた。
実際はリクがただ1人、夕ご飯を食べているカチャカチャという音が響いていたので無音ではない。しかし、それ以上に空気が重く、シーンとした雰囲気だったという意味だ。
シゲルとの連絡を終えたミクルはまるで魂が抜けたようになっていた。リクはシゲルと電話でその後も話をしていたが、シゲルが今からリクの家に謝罪をしに来ることになったらしい。それがヒカルの知るすべてである。
(なんで私、この場にいるんだろう。おなかも減ったし、よくよく考えたら、だまされただけで、私自身は悪いことしてなくない?!)
ヒカルは段々と現状に苛立ちを感じ始めた。父を通してリクの護衛の打診の話は来ていた。その件についてはヒカルも思うところがあって喜んだ。
しかし今日、学校帰りにいきなりミクルに声をかけられ、リクのところに連れていかれたらいきなり戦闘が始まり、止めようと思ったらミクルにこれは試験だと言われ止められた。これがヒカルの知る限りの今回の経緯である。
確かにリクに蹴りかかったのは悪かったと思うがそれについては謝っているし、なにより試験管(とヒカルが思っていた人たち)を助けるためだ。
必ずしも対応が悪かったとは言えないだろう。よくよく考えたら私も被害者ではないか?そういう真っ当な感覚がヒカルには戻ってきていた。
「ねえ?」
「・・・」
リクの無言の圧力に一瞬たじろいだヒカルであったが、ヒカルはそれでもめげなかった。
「ねえ、お茶ぐらい出してくれてもいいのではなくて?」
「はっ?キミは何様の・・」
「私だってミクルさんに騙されてただけで・・知らなくて・・・」
「霊視官補佐に対する試験が、霊視能力に関するテストではなく不意打ちの襲撃による実技試験だと思ったと?」
「うっ・・」
「わかった。キミ、ただのバカだろ」
リクはあきれた態度を隠そうともせずヒカルに言った。
「だって、アンタの知り合いが・・・」
「俺の知り合いにゴミはいない」
「えっ?」
「俺の知り合いにゴミはいない。これはただのゴミだ」
ヒカルはリクの言い草に一瞬たじろいだがそれでも自分の意志を貫いた。
「うっ・・・私はそのゴミに私は騙されて!」
「じゃあ、やっぱりキミはゴミ以下なのか?」
「うぐっ!」
「ねえちょっと、お二人さん。悪かったからゴミ扱いは・・・」
「「うるさい、黙れゴミ!」」
(泣きそう・・っていうか、泣く。俺本気で泣くわ)
・・・シゲルが到着するまで険悪な雰囲気は続きそうである。




