リク、キレる その2
本日二話目。ラストです。
「・・・・それで?用事がないなら帰れば?」
いつになっても話を始めようとしないミクルを前にリクはしかたなく口を開いた。
「えっと、その、ですね。できれば正座ではなk・・・いえ、このままでいいです」
「それで?」
正座させているミクルの反論を一切気にせず、視線で黙らせるとリクは続きを促した。
「えっと、それでですね・・・」
「さっさと話せ」
「はい!簡単に言いますとリクさん!あなたはこの度、霊視官補佐から霊視官へと昇進することが決まりました!おめでとうございます!」
言いにくそうにしていたミクルであったが、リクの有無を言わせぬ命令に、途中で開き直ったようである。ミクルは一息に言い放った。
「ハッ?」
本当にミクルが何を言っているのかわからない。リクの弾は一瞬ショートした。それぐらいミクルの発言はリクの虚を突いていたのだ。
「リクさん。今回はごめんなさい。霊視官になるためのテストだっていうから、私、なにもできなくて」
「いや~、さすが我が師匠。レイジ一門の秘蔵っ子。さすがです!」
自棄になったのか捲し立てるように話しかけてくるミクルにも、一切反応できないぐらいにリクは動揺していた。
(リク様、起動してください。どうやらそこのゴミが今見せている書類はどうやら本物のようです。そう急に対応しないと)
(ハッ、確かにそうだな)
もはやミクルのことを人造魂魄たちは、ゴミ扱いすることにしたようであるが、それはさておきリクは再起動した。
おもむろにポケットから魔道情報端末の魔道具を取り出すと、とあるところに困惑する2人を無視して電話をかけ始める。
「夜分遅くに失礼します。シゲルさん。・・・ええ、実はあの時の借りを返してもらおうかと思いまして・・・ええ、そうです。ヒカルさんの時の借りです。
実は国際法第三条『不当な扱いを受ける高位魔法技能士の保護に関する法律』を利用して隣国のシグムントに亡命したいんですけど・・・はい?まさか、本気に決まっているではないですか。嫌ですね~。
なにせこの国では一般人に人払いの結界をして襲撃をかけた挙句、本人の意向を無視して未成年の個人情報を公開しようとする国なんでしょう?・・・ええ、ええ。事実ですよ?・・・・・
はい?いや怒っているのはこちらなのですが・・・いえ、謝ってほしいわけではなく、あくまで亡命をですね・・・・え?バカ(ミクル)ですか?はい、いますよ。はい・・・おいバカ!シゲルさんがキミとお話ししたいって」
リクは会話が進むにつれてなぜか真っ青になっていくミクルに対して自身の情報端末を差し出した。
ミクルはシゲルからなにか言われたのか1人、玄関の方へと向かった。リクとヒカルに会話を聞かれないようにという(シゲルの)配慮であろう。
ずずっと、1人紅茶を飲むリクに対して(ヒカルにもリクはお茶を出さなかった)、ヒカルはなにか言おうとして口をつぐんだ。
「afodeuhbogobkolk!!!!mlmvbosobnsobp!!」
言葉にしがたい怒りの声と、ミクルの悲鳴がそれを中断させたからである。
引き攣った顔をするヒカルと、1人すました顔のリクは、無言のまま時間がたつのを待つのであった。




