リクとスカイボール部員
もう一話投稿します。
本日3話連続更新です。
内容が濃い、というよりは区切りが良いところで話を切っていたら、短い話が続いてしまったので・・・スマソ
リクがスカイボールのエリアに入る30分ほど前のことである。リクの姿はスカイボール部顧問のアスカと部員のタケル。そしてなぜか無関係のはずのミクとともに喧々諤々と議論が行われているスカイボール部の部室の前にあった。
「なにをしてほしいかは先ほど述べたとおり(練習試合に参加すること)だ。気持ちの準備はいいかね」
「いえ、この時点で帰りたいです」
明らかに問題が起こっている。そう主張する部室を前にリクは最後の抵抗をアスカに試みた。
「はっはっは。そうかね。なら、大丈夫そうだな」
「あの、話聞いています?」
「無論、聞いている。が、聞き入れるかどうかはまた別なのでな。なに、まだ一年でありながらレギュラー確実と言われているタケルの推薦だ。大丈夫だろう」
「あの・・」
「それに、私は強いスカイランナーを見極める、勘のようなものがあってね。その勘がささやくのだよ。キミは強いと」
「そうっすか・・・」
もはやなにを言っても聞かないだろう。そんな諦めとともにリクはしぶしぶとアスカたちとともにリクは部室へと入っていくのであった。
いうまでもないことであるがスカイボールは体力的にすごくキツいスポーツである。ハンドボールもかなりハードなスポーツであるが、そこに加えて3次元の立体機動が加わるのだ。
またスカイシューズで補助されているとはいえ、一歩踏み出すごとに魔法を発動しなくてはならないし、そこがおろそかになると地面まで真っ逆さまという心理的プレッシャー。
かといって最初から飛ばして魔力を使い続ける(思念波をとばすこと、の意味。俗語)と疲労の速度は段違いになるのだ。
そして今回の対抗試合は1セットマッチ(8分/1セット)ではあるが、どのチームも男子で合計1試合分(4セット)、試合をすることになる。1セットごとに休憩が入るとはいえかなりタイトな試合スケジュールである。
そもそも、普通の試合では1セット中に何回も選手交代をするのが普通(そうしないと持たない)なのに、交代の選手もいないまま、抜けた人数はそのままに試合を行おうというのだから尋常ではない。
もっとも・・・というか、やはりというか・・それもそのはず、この対抗試合はアスカが顧問になってからは伝統的なもので、その目的は「根性ないやつを叩き落とす」であるのだ。厳しいのも当然と言える。
現状では1人足りないチームがあるのだが、そのチームが別の試合で体力を減らした選手を欲しがるはずもなく(下手すると1人足りないまま戦い続けなくてはならないのだから当然である)、先ほどの言い争いにつながっていた。と、いうことらしい。
なお、現状は重たい沈黙とリクへの厳しい(関係ないチームからは興味深い)視線が部室の中にひしめいていた。
口火を切ったのは1人足りないチームのキャプテン(当然臨時の、である)であった。
「それで?アスカ先生。部員でもないそいつを対抗試合に参加させると?」
「うむ。タケルの推薦だ」
「しかし、ほとんど初心者、それもCランクなんでしょう?体力的にも、物理的にも危険では?」
同チームの別の選手から別の指摘が上がった。もっとも心配しているように見えて、言いたいことの本音は「足手まといは困る」、なのは間違えようがない。
「そもそも、1年のタケルの推薦なんだから、タケルのチームに入れろよ」
「おい、それは!」
「かまわないっすよ?全然」
タケルのチームの二年生が反論しようとしたが、タケルがニコニコとそれを遮った。全く怖くもなんともないという態度で、さすがリア充である。
「でもいいんすか?こいつは入ったら、俺のチーム絶対優勝しますけど」
その瞬間、闘気(というかもはや殺気)が部室に渦巻いたが、逆にタケルはそれが楽しくて仕方がないと好戦的な笑みを漏らした。
「・・・・・おもしれえじゃねえか」
そんな一触即発な空気の中、流れをぶった切ったのはスカイボール部のキャプテン、ジンであった。
「いいぜ、リクって言ったか?お前、俺のチームに入れや」
「部長!」
ジンと同じチームの1年が咎めるようにそう言ったが、ジンは気にも留めなかった。
「代わりにギン。お前、ユズル(1人少なかったチームの仮のキャプテン)のチームに入れや。ユズル、ギンなら文句ねえな?」
「俺はないっすけど・・」
「俺もいいよ。久しぶりに面白そうな感じになりそうだからね」
ギンと呼ばれた3年は微笑みながらそれを快諾した。
「だけど・・」
「うっせーぞ、ギンの分は俺がカバーする。文句あるか?ま、楽しくやろうや、リク君」
ジンは強引にその場を収め、それ以上の追及を無視した。
「・・・はい(アカン、この人タケルと同じタイプか・・・苦手だ・・)」
「決まりだな。ではリク。お前はジンのチームだ。頼んだぞ」
アスカのその一言で、ようやく試合に向けたアップが始まるのであった。




