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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 3
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美しき蝶 ④



「二巳。」


「何。一禾から話しかけてくるとか、珍しい。」



謎が謎を呼んでるから、少しでも聞いておくべき。意外と勘が冴えてる二巳に、案をもらうべきだから。


…こういう時に、使えるものは使わないと。



「きっとそれはさ、俺らだけじゃなくて、碧と灯が何とかしてくれるって。」



俺らの気持ちを汲み取ったのか、風が吹いた。どこか温かく、どこか冷たく、そんな風。

着物の裾をすっと通り抜けて、足元を冷やしていく。



「風、冷たくなってきたし、中入ろうか。」



満月の夜。こういう時ほど何かある。それは俺が一番知っている。

満月は、そういう力を活動させやすい。いわゆる、制御できなくなる。それくらい強力になってしまう。


早く眠ってしまえば…、きっと。



「一禾?」


「二巳…、桜雅に…、」



心臓の鼓動が早くなるのを感じた。一足遅かった、なんて考える時間もないくらい、どんどん早まる。



「一禾、桜雅早く来るって。」



冷静に落ち着いて的確に。そんな二巳を横目に、早まる鼓動とリンクして荒くなっていく呼吸。


満月の日はいつもそう。何かある、というのはこういうことで、無事に眠れた日などない。



「あ、桜雅。」


「はい、お待たせ。大丈夫、一禾。」



その言葉と同時に耳元で聞こえた、パチンという音。その音を最後に、俺の記憶は途切れた。

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