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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 3
90/180

黒いミント ④


「あの…?」


「嵯峨一禾です。」


「弟の二巳です。」




“ 一禾って、女の子じゃない…? ”


そういう華の心の中。名前を見た時から嫌な予感はしていたが、的中か。





「そちらは…」


「西園寺桜雅でーす、初めまして。」


『華。』





逃げろ、逃げよう。

そんな言葉も届かないまま、華の裾を引っ張る。





「君の名前は?」


「黒沢華です。」





そう言った瞬間、全員の表情が変わった。

ここにいてはまずい。私だけではなく、華も思っただろう。

獲物を見つけた、そんな目だった。





『華、行くぞ。早くしないと、来る。』




きっと、何が来るかはわかってないだろう。でも、大体はわかってるはず。

少しでもいい、察しろ、華。




「ごめんなさい、この後私バイト入ってるんです。なので、ここで失礼します。」




華は、なるべく怪しまれないように、嘘をついて避けて行く。

私はそんな華を追いかけて、その場を後にした。




「あの子が、黒沢華ちゃん?」


「そうみたい。」


「甘くていい香り。なんか、襲いたくなるね?」


「やめとけ、桜雅。」




そんな会話が行われていることも知らずに。








『華、無事か。』


「…うん。」




少し顔が引きつっているのもわかっているのに、私は鳥居小路 翼から手を引け、とは言えないんだ。




「こんにちは。」


「楓ちゃん…。」




いつも、ここぞというタイミングでこの子は現れる。

まるで、全てを見透かしているように。




『最近見なかった顔だな。』


「はい、受験だったので。」




楓がそう言いながら出してきたのは、ある封筒。




「これ、報告したくて。」




華はそれを受け取り、静かに中身を見た。

私はその姿を横目に、楓の頭を撫でた。


その封筒に入っていたのは、「合格通知書」。




『楓、お疲れ様。』


「はい。」

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