表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 3
85/180

親としての義務 ⑤


およそ11年前。一気に家族を失った僕は、喪失感に襲われた。

確かに華と二人で暮らす手もあったかもしれない。でも、母親がいない中で、どうしても暮らせるとは思えなかった。


玲も律もいなくなって、華を養えるほどのお金もなくて、おまけに自分自身に自信がなかった。


だから、思わず始めたライターの仕事。初めてすぐに訪れた一つの大事件。

それが、「山田桜ちゃん 殺害事件」だった。

当時生き残った姉の方に話を聞きたいと、みんながみんな血眼で追っていた。


そんな中、




「黒沢さん。」


「あの…、どちら様ですか。」




見知らぬ女性が僕に一枚の紙切れを渡して来た。その紙切れには、全ての真相が事細かく書かれていた。

山田楓ちゃんがどこに住んでいて、今何をしていて、どこの学校に通っているのか。個人情報が全て筒抜けだった。




「この事件、あなたの娘さんの華さんも関わっているそうです。」


「華が…?」




そう言われてはいたが、華がそんなことをするとは信じられなくて。




「あなたは?」


「まだ、知らなくていいかと。」




気づいたらもういなくて、自分の意思で彼女を追いかけていた。




「あの、山田楓さんですか。」


「…違います。」




明らかに本人なのに、彼女はいくらでも嘘をつく。

それを、真実を解き明かすために、ずっと尾行するようになった。まるで、ストーカーみたいに。




「いい記事は書けたのか?」


「…今、山田楓ちゃんの…」


「あー、よく捕まえたな。」




仕事をあまり獲得できなかった僕は、これが最後のチャンスだった。仕事を辞めさせられるか、生き残るか。そんな狭間にいた。

何回も何回も尾行して、楓ちゃんがこの家と自分の家を行き来しているのを知って、後から調べたものの、この家の主は出て来なかった。


それから、僕は再婚することになって、黒沢家に行って、華の居場所を教えてもらった。

それで、今に至るんだ。








『今さら、何を…』


「再婚って、誰と…。」


「鳥居小路 綾芽さん、という方と。華も会ってみないか。」




私の中でぴくっと何かが反応していた。

鳥居小路。私はこの名字を知っている。あまりいない名字なのだから、絶対に私の知っている人であっているはず。


何を考えているんだ。

華の家まで手懐けようとでも?

私が止めないといけない。




「会いたくない…」


「なんで。お前のお母さんとなる人だぞ。」


『華、行くな。』


「私は、会わない…。」




華の少しばかりの反抗。今までなかった分、ここぞとばかりに発揮されてしまった。

止める暇もないくらい悪化して行くこの状況。




「会いに行こう。華。」


「私は会わない!」


「これだから黒沢家は!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ