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親としての義務 ④
正直、これで合ってるのか、と言われたら分からない。でも、今やるべきことは、お父さんと話をして、もう来ないでもらうべきだって、思ってしまった。
私は、彼をリビングの方へ連れて行った。
「コーヒーでいいよね?」
「…ああ。」
コーヒーを抽出して、彼の前にカップを置く。
いい匂いがすっと漂って来て、その香りに酔いしれる。
「話って、何?」
「華。一緒に暮らさないか。」
今さらだった。私はもうこの家に馴染んでいるわけで、今さら違うところでなんて、生理的に無理な話だ。
「11年間、どっかに行ってたくせして?」
「それには、訳があって…」
「どんな訳?」
“ 私にもわかるように説明して。 ”
思わず口走っていた。
やっぱり、親子なんだな、なんて。母がずっと言ってた口癖が出てしまっている。私は、絶対に母に似ないと思っていたのに。…って、それは私だけか。
「あのな…」
彼はゆっくりと口を開いて、喋り出した。