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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 3
81/180

親としての義務 ①



「華、会いたかった。」


「なんで…。」




12年ぶりの再会。今まで一切来なかったのに、なんで今になって華の元へ来たのか。

華も顔が引きつっているじゃないか。




「会いたかったよ、華。」


『なんで、今になって…。』




私も会いたくないのは事実であって、きっと華は私以上に会いたくなかったと思う。

それを今から蒸し返すなんて。




「帰って…。」


「華。華のお父さんだよ。」


「嫌よ、帰って…。」




帰ってしか言えない華と、自分の気持ちを強引に押し通そうとする父親と言われる男。

あまりにも、自分勝手すぎて、呆れる。

何が目的と言うのか。何がこいつを動かして、何を華のところへ巡り会わせたのか。




「…華、また来るよ。」




華の一方的な拒絶に、男は諦めたのかそれだけいって、華の元を離れた。華はすぐにでも崩れ落ちそうなほど、足が震えていて。




『大丈夫か、華…』




私がそう声をかけた時には、ポロっと涙が伝っていた。

少し紅色の頬を涙で濡らしてくれるとは。

私は華の涙を見たくて戻って来たわけではない。




「ひなた…」


『きっと、また来る。でも、会わなくていい。』




私が守るから。私が会わせないから。

わざわざ会う必要はないんだ。今さら何しに、何を伝えたくて華の元に来たのか。意味がわからない。


少し曇っているこの空を、どこか心の中で冷静に見ながらも、華の涙と関係しているように感じた。

その次の日から、奴は毎日のように華の前に現れた。





「華。」


「…私は会いたくない。」





その度に、華は昔のことがフラッシュバックして涙を流す。


流れるその涙を私はただ見つめることしかできなくて、守れているのか不安でしかないんだ。





「ひなた。」


『どうした。』


「お父さんは、どうしてここに来たんだろう。」


『お前が、その謎を解きたい、と言うのなら話してみればいいじゃないか。』





近くで見守ればいい。何かあったら私が守る。それだけできっと違う。

そう思うは思うけど、何か違う。




「私が会っていいの?」


『お前は娘なんだ。父親にあって何が悪い。』




そうやって背中を押して、少し後から戸惑いを感じだす。

私がやってることは、これで合ってるのか、と。華を危険に晒してないか、不安なんだ。


…って、実の親にそう思うのも違うのか。

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