会いたい理由 ⑧
「あれって……」
『ああ。中島杏子だ。』
「まとわりついてるのって……」
『世間でいう、悪霊だな。』
「助ける方法は…」
『あると思うか?私たちはゴーストアビリティーだ。会話をさせることしかできないんだよ。』
今にも泣きそうな華の姿。そんなんで助けてもらえるなんて思うな。
甘い。目をそらすな。ちゃんと見ていろ。
そう言いたくなったが、言えなかった。なぜか、こいつには言えないんだ。
しっかりと。はっきりと。
似てるからかな、昔の私と____。
ぼーっとしてると、華が手に何か持っている。
『華、お前何するつもりだ。』
「杏子さんを助ける。」
取り出していたのは、十字架。十字架は吸血鬼などに効くと言われてるけど、それは悪霊も同じ。
十字架の放つキラキラを苦手とし、効果は抜群とされている。
華はそれを中島杏子の姿にかざす。徐々に華の持つ十字架がキラキラしていく。
『華、逃げろ!』
「杏子さんを助けるまでは…」
これを使うのには、体力を使う。体力なんて全然ない華に、この力を使うのはまだ早すぎる。
『華!』
華が十字架を手放すと、中島杏子の身体がキラキラと輝きだす。
私たちは目を疑った。この光景は何回目だろう、華は初めてかな。
3分ぐらいすると、そのキラキラは収まって、杏子の後ろから新たな影が姿を現す。