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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
70/180

表情の裏 ③



「…で、下見は出来たのか?」


「ええ。黒沢華はいい子よ。一切警戒心がない子。」


『あれ、おかしいな。こっちには警戒しまくりなのに。』




何をしでかすか分からない。でも、奴はもう用無しだ。早く戻って来てもらわないと。

2人一緒に消せないじゃないか。黒木ひなたよ…。






冷たい風が吹いた。どこかで私の噂をしているのだろう。

きっと、いや、もうそろそろで、華の元に帰らなくては。

あいつほどやかましい奴はいないから。








『華さんがずっと眠ってるのって珍しくないですか?』


「何を言ってるの?」




私は何もかも知ってる。この人が、私の情報を集めてることも何もかも。

でもひなたの信頼してる人ならって。我慢してたのに。




「はい、どうぞ。」




ちょうどいいタイミングでジュースを持ってくるから、どこか感謝しつつ、私は彼女に口を開こうとする。

すると…、




「あかねさん。私、華さんと話したいことがあるんです。次の交渉にでも行ってきてください。」




いつも通りの対応。やっぱり冷たい。でも彼女の瞳は、いつもより意思が強かった。




『…わかりました。』



煙のように消えて行った。その姿を見届けると、彼女は静かに正面の椅子に腰かけた。



「話って…?」


「白山あかねについてです。」


「あかねさん?」



情報はある程度持ってるつもりではいる。でも、私が知らない情報があるなら、もらうべき。


私は静かにジュースを置いた。



「あかねさんは、ここの情報を違うところに漏らしています。」


「…うん。」


「きっと、ひなたさんの…」


『話って、そのことですか?』


「あかねさん…」



知らないうちに立っていた。前にもこんなことがあったな、なんて、呑気に考えている私もいる。


でも今、やるべきことは…




「楓ちゃん、もう帰りな。」


「でも…」


「大丈夫だから。また明日。」





私は楓ちゃんの背中を押して、家から追い出していた。

残ったのは私たちと冷たい空気だけ。凍りついたこの空気にいる私は、背筋が凍って、動けなくなる。





『楓ちゃんを帰らせて…』


「話すことがあるなら、話しましょうか。」





冷静に話すのが大事だと思う。どれだけ理解できるか、がこの鍵だと思って。


この人がこれから何を話すのか。何が語られるのか。

私はゆっくり聞こうじゃないの___。










追い出された。家の鍵までも閉められて、立ち入りを禁止された。

私は1人とぼとぼと歩きながら、家の近くの公園に寄り道をする。

今私が出来ることはなんなのか、それしか考えられなくて。

でもいくら考えても出てこないし、考えすぎて頭が痛い。




『これでも飲め。』

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