会いたい理由 ⑦
・・
「華、昨日何してたの?」
「え、なんで?」
「凛と華に電話したのに、繋がらなかったから。」
ギクっとした。私は電話が鳴ってると知らせてあげたのにも関わらず、華は「いい」と無視し続けたのだ。
「き….、昨日は寝ちゃってて…」
笑ってごまかした。それで信じる凛と泉もなかなかだろ。
『嘘ついて。』
「嘘じゃない、寝てた。」
声に出しやがって。色々とイライラが募るばかりだ。こんなやつがパートナーなんて、今さら嫌になる。
「華、映画見に行こうよー。」
「凛!華は私と見に行くの!」
またか。この光景、何回見たことか。そこまで華が人気だとは思えない。
そうやって頭の中で考えていれば、華の肩越しに見える中島杏子の姿。
少し嫌な予感がしながらも、そっちに向かう。
「凛、泉ごめん。ちょっとレモンティー買って来る。」
華が後ろから私の後を追って来る。意地悪だけど、ちょっと早めに歩いてみる。すると、華は走ってきた。
「あんたさ、待ちなさいよ!」
『お前なんかに待ってる時間はない。』
舌打ちしやがった。ちょっとムカついたが、そこはちゃんと我慢した。
中島杏子の姿が近づく。この前よりも暗い雰囲気で、前のような穏やかな、優しそうな姿はどこにもなかった。