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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
67/180

生きる価値 ⑧



「翡翠様。」


「どうされた。」




渡された一枚の紙。書かれていたのは “ 白山あかねについて ” 。

ある意味疫病神のやつに、残す居場所なんてない。




「黒木美奈子と接触したようです。」


「黒木…。」




僕の最大の敵、「黒木」。いい度胸してるじゃないか。

僕に永遠に着いて行くと言っときながら、自分は裏切りか。

やはり、僕もそこまで甘くはない。




「こいつ、どうされますか。」


「まあ早まるな、柘榴。」




どうなるかなんて、まだわからない。

わかっていても、教えたりはしないがな。




『翡翠様。』


「あら、噂をすれば。」


「どうされた。」


『黒沢華についてですが…』




やたらと僕と会話をしてこようとする。何を考えているのか、何を思っているのか、僕の前では嘘がつけないだろう。


嘘なんかついたら…って、こいつはもうついているんだ。僕の前で。





「黒沢華に関しては、僕も考えている。お前は持ち場に戻れ。」


『…はい、すみませんでした。』





煙のように、すっと消えて行く。

ゆずの香りだけ残して、僕の前からいなくなる。





「私は、どうしたらよろしいですか。」


「お前は、僕と一緒にいろ。」


「はい…。」






お前の人生は僕が全て握っている。

何をしようと、僕には全部見えてるんだ。

だから、僕に隠し事をしようものなら、何をしようか。姿を消してしまうかも。

だからと言ってはなんだが、お前はもう僕から離れられない______。













およそ3ヶ月前。ある一家を襲った、一つの幸せの崩壊。

夫と娘を残し、旅立った奥さん。

電車で起こった事故でいなくなった彼女は、「夫に会いたい」ただそれだけで、私の元へ。


娘さんがのちに私のもとを訪れ、彼女に会いたいと。

私にとったら、理想の家族の象徴でした。全てが私の理想。いい家族だな、って。


話したいこと、疑問に思ってたこと、ゆっくり聞けましたか。

これが原因で、電車に乗れなかった娘さんも、トラウマを回復できたらいいなと思います。




幸せ。それは人それぞれだし、これで生きる価値が見出せたら。

精一杯生きてください。お母さんの分まで、しっかりと。

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