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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
59/180

黒い影 ⑧



「華さん、もう2時55分です!」


「様子見に行こうか。」




彼らがいるはずの場所に向かうと、何名かいて、嫌な予感と冷気が私を襲った。




「寒い…ですね。」


「そう、だね…」




恐る恐る近づいていく。

私はもう何者かなんて、ある程度わかってたけども。



『覗いてたの?趣味悪いね、黒沢華。』


「清水澄良さんは、どこに。」


「この子は僕がもらっていく。」


「待って、その子は…!」


『もう遅いんだよ、黒沢華。』



会ったことのある二人組。私は思わず声を漏らした。


写真。私の頭の中で、その言葉が現れる。



「華さん…」



怯える楓ちゃんと、カオスな状況に巻き込まれていく。

清水さんに何があったと言うのか。


それと同時に、あかねさんはどこへ…?




『またまた、いいショーだっただろう。』


「これは見せ物なんかじゃ…!」


「黒沢華。何か僕に聞きたいことがあるんじゃないのか?」


『翡翠様…?』




翡翠…。

確か深緑の宝石。秦や中南米では、遺体を全て翡翠で覆われていたらしい。

だって、この宝石には、「不老不死」及び「生命の再生」をもたらす力があると信じられてきたから。


私はこのタイミングで何を言って、何を聞けばいいのか。

正直、どうすればいいのかわからない。




「どうした、黒沢華。」


「華さん…?」




一か八かの運試し。あとは私次第。




「ひなたとは、黒木ひなたとはどういう関係なの?」


『翡翠様になんて口を…!』


「大丈夫だ、下がれ。」




私はただ知りたいだけなの。ただ、それだけ。


なんで彼はひなたの名前を知っていて、ひなたの写真を持ってて、ひなたと一緒に写っていたのか。

私の中では謎でしかないの。


こんなことする人と、ひなたが関わりを持つとは思えないから。あのひなたが。





「今のお前に知らせる情報などない。」





私と楓ちゃんの横をすーっと風が吹き抜けた。

誰もいなくなったその場に、私たちは立ち尽くした。









とある事故で最愛なる人を亡くしたら、あなたはどうされますか。

今回、面会を希望された女性は、1人の男性を亡くし、再会を果たしました。

たくさんの話に花を咲かせたでしょう。しかし、彼の一言で、彼女はついて行ってしまった。


私は彼女のために何ができたのでしょうか。


もしかしたら会わせたらダメだったのかもしれません。

私が今、思うことは一つです。



“ 助けられなくて、ごめんなさい。 ”

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