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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
53/180

黒い影 ②


7月に入った。あの日から少しずつ寒気を感じつつ、あかねさんの行動にもおかしな点がいくつか上がってきていた。




「はーなー!」


「うわ、どうしたの?」


「今日、家行っていい?」


「別にいいけど、楓ちゃんも来るよ?」




泉と楓ちゃんは似た者同士で、私にしたら居心地がいいったらありゃしない。




『華さん、今日はこの方が…』




相変わらずな関係性。あかねさんといつまで続くのかな、とか考えてしまう。

思っちゃいけないことを思ってるのもわかってる。

わかってるんだけど、止められない。


あかねさんの事務連絡を聞きつつ、私と泉は家まで歩いた。




「あ!やっときた!」




家の前でずっと待ってたらしい女の子。




「楓!」


「あ、泉ちゃん!」




運命の再会を果たす2人を横目に、私は家の鍵を開ける。




「どうぞ。」


「ありがとー!」


『…失礼します。』




私は気付かぬフリをした。あかねさんのちょっとした表情に。


何も起きないでくれ、私はそう願うばかりだ。




・・


その日のお客さんは来なくて。どこか来る予感はしてたのに外したか、とがっかりしていた。




『予想が外れてがっかりでもしてるんですか?』



声がした。私は驚いて後ろを振り向く。



「なんで、」


『なんでって…、私は華さんのパートナーじゃないですか。』



音も立てず、ずっと後ろにいたの。


いつもだったら誰かが来ることに敏感な私が、後ろに立たれていることに気づかないはずがない。


冷たい汗が背中を伝った。




『そんなに仕事、したかったんですか?』


「それは…」


『そろそろ、大学の課題でもやったらどうです?』




笑ってるのに笑ってない。冷酷な瞳。

その中に映ってる私の存在。


怖い怖い怖い怖い。怖いよ、この人。




『怖くないじゃないですか、華さん。』


「…っ、課題、やるんで…、出て行ってもらって、いいですか?」


『わかりました、いつでも呼んでくださいね。』




パタン、と扉が閉まった。


なんで課題をやってないこと、知ってるんだろう。

私は何も言ってなければ、思ってもいない。


…監視でもされてるのかな。


絶対ないようなことを考えてみる。あり得ないのに。

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