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ラベンダーの香り ④
あの後すぐに連絡を入れた。美奈子さんに言われた通りに伝言して。
彼はすごい嬉しそうな声を上げた。
「華さん。」
「ん?」
「あかねさんは…」
「まだ来てないみたい。」
あれから私たちの間には距離ができた。話も事務連絡のみ。
ひなただったら、ひなたとは。
比べちゃいけないのに、ひなたと比べてしまう。
「私、一つだけ思うことが…」
『お待たせしました。』
「そろそろで来るから。…で、なに?」
「…大丈夫です。」
その答えほど気になるものはないとおもうけど。
少しだけあかねさんと楓ちゃんが、お互いを見る目が冷たいのは、気のせい?
でも、そんなこと口に出せるはずがない。
『そろそろです。』
カウントダウンをするあかねさんを横目に待っていると、1になった瞬間、現れる坂口さん。
「ごめんなさい、遅れました。」
「いえ、大丈夫です。」
「覚悟は、よろしいですか。」
「はい。」
もとから覚悟は決めていたようだ。
いつも通りにあかねさんが場を作る。私は完成したものを見て言うの。
「それでは、楽しいひと時を。」