ラベンダーの香り ②
あれ以来、あかねさんもまだ戻って来てない。
「あ、華お疲れ。」
「なんで泉がいるの!?」
「なんか、今日集中力が薄れてたから。」
その言葉と同時にプリントを出してくれる。
「きっと聞いてなかったんでしょ、これ。」
「え、泉好き。」
なんて世間話をしつつ。あーだこーだ話し込んで、あっという間に時間は過ぎ去って行った。
「楓ちゃんも、一緒に帰ったら?」
「あの、なんであかねさんがいないんですか。」
「わからないの。すぐ戻って来るとは言ってたけど…」
2人で頭に?を浮かべていると、ガタッとなるポストの音。
何かが中に入れられたのだろうか。
恐る恐る、外に出てポストを開く。
「何なの、これ…。」
「手紙…?」
たった一枚の便箋。中に何が入ってるかなんて、怖くて開けられない。
「華?」
「開けるから…」
そっと開けると、一言だけカードに記されていた。
「私の、元に来て、華ちゃん。」
「何、これ…。」
みんなして、その場に立ち尽くした____。
昨日の夜は全く眠れなかった。あの手紙のせいだ。
全く寝付けず、ずっと目は開いたままで。
少しの物音でも、敏感に反応してしまう。
『おはようございます、華さん。』
「え…っ、」
『え、とは…?』
「昨日は、どこに行ってたんですか?」
私の問いかけにはまともな反応をくれないあかねさん。
『…そんなことより、そろそろお客様がいらっしゃいますよ。』
何か言わなきゃ。でも、言葉が出てこない。
あかねさんは本当にひなたの知り合いなんだろうか。
謎には謎を。この人は、何がしたくてここに来たんだろう。
何かがおかしい。
私が外に出ると、お客と呼ばれる人がいて。
「あの…?」
「会いたい人がいて。」
男性だった。私の客層としては珍しい。それも私と同い年くらい。大学生か何かなのかしら。
「とりあえず、中へ。」
「お邪魔します。」
彼の名は、坂口隼人。私が思ってたのとはちょっと外れて、28歳。職業は営業マン。
「今回は誰と、」
「この前亡くなった、双子の妹に。」
彼曰く、双子の妹である桔花さんは、この前急死を遂げたという。
今の時代、急死はおかしくない。
「交渉、してみますね。」
ある程度の個人情報を置いていってもらい、それをもとにゴーストアビリティーの仕事をこなしていく。