表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
45/180

ラベンダーの香り ①



華と離れてから、相当の期間が過ぎた。離れたことで何を得られたのか、それは正直わかってない。

でも…、





『何しに、ここまで来たんだ。』


『何しに?お前の目的はなんなんだ。』


『黒沢華を抹殺する、ただそれだけだ。』





華の身に何か起きる。このままあかねに任せて平気なのか、不安がよぎる。





『華には、指一本触れさせない。』


『それは、どうかな?』




ああ、何か起きる。

この私が華を止めなくては。












「華さん!」


「あれ、今日は…」


「これからです。華さんもですか?」


「そう、これから学校。」





ほんのり香るフレグランス。中学生なのに、そんなのつけるんだ、なんてジェネレーションギャップを感じ始める今日この頃。


今日は久しぶりの学校。そろそろインターンも始まる意外と忙しい時期。





「お疲れ様です、あかねさん。」


『お疲れ様です。』





相変わらずのこの2人。ふわふわしてる者と、なんとも言えない者が合わさるとこうなるのか、と思いつつ。





「それじゃ、私はこっちなんで。」


「行ってらっしゃい、楓ちゃん。」





彼女はローファーを鳴らしながら、駆けていく。


今日は素晴らしいほどの快晴。7月に近づいているこの時期は、暑いと感じる程の気温。






『暑い、ですね。』


「やっぱり、思いましたか?」


『はい。』





私はそんな会話をしつつ、ヒールを鳴らした。まるで、先ほどの楓ちゃんみたいに。


ある程度歩けば、大学まではすぐそこ。





「あ、華!」


「おはよ、まだ間に合った?」


「ほんとにギリギリ。泉もさっき来たばっかり。」





泉は一回だけ、私の元に来たことがある。でも、ありがたいことに、泉はこの秘密を黙ってくれている。





「華、アイス食べるー?」


「いいの?」





普通の女子大生みたいなことはあまりできてないけど、十分充実してるから、さらに忙しくなるようなことはしたくない。





『華さん、私少しだけ出て来ますね。』


「わかりました。」





ぼそっと呟きつつ、泉の方を反射的に向いてしまう。

“ 大丈夫だよ ” なんて、口パクで伝えてくるものだから、私はそれに甘えてしまうんだ。


そんな時にふわっと香るラベンダーの匂い。私は嗅いだことのない香り。でも明らかに前の2人ではないことはわかってる。


私はまわりをキョロキョロして、あたりを見回す。すると、頭の中で響く声。




“ 華には指一本触れさせない。 ”


“ それは、どうかな? ”




私の身に、何か起きるの?


そう考え出した途端に、ラベンダーの香りが消えた。

その日の授業は何一つ頭に入ってこなかった。


あの声が頭を巡る。確実に、ひなたの声だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ