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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 2
43/180

幼くして亡くした子の命 ⑤



「ほんとに…」


『あおきせんせ!?』





彼は当時のままだった。いつも元気が良くて、いつも笑ってて。

でも時に元気が良すぎて、怪我をして。そしていたずらっ子で。





『せんせ?どうしたの?』


「ううん…、元気にしてた?」






私は涙をこらえるのに必死だった。






『ぼくね!てつぼうができるようになったの!』






聞けなかった章汰くんの最近の出来事。いつもはそれを聞くのが楽しみで、笑い合ってたはずなのに。






「すごいじゃん!」


『あとね、にじゅうとびができるようになってぇ…』






少なからず、成長してるんだ。できないことができるようになる、子供にとって、それほど嬉しいものはない。


それは、幼稚園の先生だった私が一番知ってること。







「他には?何ができるようになったの?」


『たくさんあったんだけど、わすれちゃった…。』






泣きそうな顔してる。ああ、この子悔しいんだなって。

きっとまだ、これからできるようになることだって、あったはず。


私が、それを奪っちゃったんだ…。







「あのね、章汰、くん…」


『ん?』


「本当にごめんね…、先生があの時、章汰くんを…」


『せんせ?なにいってるの?せんせはなにもわるくないよ。』







そう言って、あの頃と同じ笑顔で笑うんだ。

私はまた、その笑顔に救われる。






『ぼくね、せんせのことすきだから、わらっててほしいんだ。』







“ だから、なかないで。 ”


その一言で私の涙腺は歯止めが効かなくなった。







『そろそろいかなきゃ! せんせ、だいすきだよ!またね!』


「え、章汰くん!」







あっという間に、時間は過ぎ去ってしまうんだ。

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