幼くして亡くした子の命 ③
「で、個人情報を集める方法を知りたいと。」
『あれ、でも華ちゃん知ってるんじゃ…』
「いつもはひなたが…」
「それじゃあ、勉強にならないわ。華ちゃんの力で集めなさい。」
祖母の力を借りたい、そう思ったのに。
私の祖母はそこまで簡単じゃありませんでした。
『ひーちゃんは…』
「お互い、頭を冷やしてるんです。ごめんなさい、合わせてあげられなくて。」
『それはまたの機会ね。』
そう言って、笑ってくれるから。本当にひなたと血が繋がってるのか、怖くて聞けない。
『繋がってるわよ!当たり前じゃないの!』
「あ、読んじゃいましたか?」
『とりあえず、気をつけてね。』
「え、何に…」
ツーツーツー。切られた。
何に気をつけたらいいんだろう。でも、いつもは穏やかな口調の美奈子さんが、そんなことを言うってことに驚いている。
『何に、気をつけたらいいんでしょう。』
「あ、華さん。ここにいましたか。」
「楓ちゃん!」
いいところに来てくれたなぁ、楓ちゃん。
私、今ものすごく行き詰まってる。助けてください、女神様。
「あの…?」
『あ、初めまして、白山あかね、と申します。』
「えっと、山田楓です。」
『…ん?私のこと、見えてるんですか!?』
「はい。バリバリ見えてます。」
なんと言うか、初々しいと言うか。あまりにも見慣れた風景というか。
楓ちゃんが見えることに驚くのは、ひなたも一緒だったな、って。
ああ、気づいたらひなたのこと考えてるわ、私。
「あのね、楓ちゃん。」
「はい?」
「よかったら、協力してほしいことがあって…」
『え、この子生身の人間…っ!』
「個人情報集めるの、手伝ってくれる?」
彼女はにっこり笑って、頷いた。
“ それなら、あの部屋にあるんじゃ…? ”
絶対に入るなと言われていた、ひなたの部屋。私は鍵を持って、彼女の部屋に足を踏み入れた。
『これが、ひなたちゃんの部屋…』
それぞれがヒントとなる物を探していると、目に入った一枚の写真。
セーラー服を着ている…ひなた?と一人の青年の写真。仲がいい兄弟写真っぽい。
…あれ? この男の子…、どこかで…。
でも、今はそれどころじゃない。
私はそれを部屋の机の上に置いた。静かに。