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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
4/180

会いたい理由 ④





「あの……っ、お金……っ!」


「大丈夫です。」


「でも……っ、」





そう言って、彼女はお財布の中から、千円札を取り出して華の前に差し出した。





「私、お金は取らないってさっき……」


「これと、それは別……です。」





この人、面白い。今の言動でわかる。ていうか、実感した。






「じゃあ…….、ありがたく受け取らせてもらいます。」





華も遠慮がちにそのお金を手に取った。


二人で会話もなくらただただ歩いた。ついた先は、プリンスホテル。

華はここを予約していたのだ。






「中島さん、少しお待ちください。」


「はい。」





私は509号室に向かっていた。もちろんとなりには華も同じ。

二人とも黙っていて、気まずいこの空気。

それを解放してくれたのは、華の方だった。






「なんでプリンスホテルなの。」


『ここは、中島杏子と神谷貴一が初めてデートした場所に近いから。』


「ほんとにそれだけ?」


『……向こうの指示。』






びっくりした。向こうからの指定はパートナーを組んでから初の出来事。

そんな会話をしていると、もう509号室の目の前。私が華にカードキーを渡せば、華は迷いもせずに部屋を開ける。


胸の鼓動が早くなる。リビングに向かうと、スーツを着た男の人。







「…神谷、貴一さんですか。」


『えっ、はい!』


「ゴーストアビリティーの黒沢華と申します。先日は、うちの黒木がお世話になりました。」






誰かの交渉は私の役目。


ちょっと珍しいけど、私の苗字は黒木なの。黒木ひなた。

華とちょっと似てて、いいでしょ?








「では、いきなりですが、外で中島杏子さんがお待ちです。お呼びしてきてよろしいですか?」


『……はい、お願いします。』








返事を聞いて、ロビーにいる彼女を呼びに行く。

会える時間は夜中の三時まで。この月が出ている間だけ。






「杏子さん、お待たせいたしました。」


「華ちゃん……。」


「私はここで待っています。509号室に行かれてください。」





そう言って、華はカードキーを手渡す。


この先は、私も、もちろん華も知らない____。

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