心の距離 ⑦
時刻は2時50分。あともう少しで時間だ。55分になっても帰って来なければ、危ない。
「…まだ、帰って来ないね。」
『そうだな。』
「このままじゃ危ないよね、私呼びに…」
『待て。55分まで、待て。』
華の目はちゃんと真っすぐを見てた。でも、どこか不安そうな。
そんな時に、こっちの天気もおかしくなってくるものだ。
段々暗くなって来て、霧がまわりに出てくる。
『華、気をつけろ。』
「…うん、」
嫌な予感。前に華が言ってたのは、これのことか。
ああ、時間だ。
『華、54分だ。私に捕まれ。』
無言で私の腕を掴んだ。
私たちについてくるな、そして、華に触れるな。
瞬間移動で、栞とリサの元に向かう。
「リサちゃん…!」
その中での衝撃的な現場。
あの穏やかそうなリサが、栞を追い詰めていた。
『岡本リサ!何してるんだ!』
『私の気持ちも知らないで…!』
「あんたの気持ちなんて知るはずないでしょ、バカみたい。」
バカはお前だ。
笑いながらリサを見ている栞。こっちからしたら、リサは悪くないんだ。
「ねえ、ひなた!」
『ああ。』
リサに段々羽が生えてくる。
時刻は2時59分30秒。私は絶対に助けないぞ。
「あともう少しで…!」
『これは、神から罰が下ったんだ。栞は親友であるリサを裏切った。これが最後だな。』
腰を抜かして、段々崩れ落ちてく華と反対に、まだ余裕そうに、リサを見ている栞、
さあ、さよならを言え、栞。
5、4、3、2、1。
「3時…」
たった一瞬だった。
リサが羽で栞を覆いながら、空へと戻っていった___。