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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
36/180

心の距離 ⑥



「リサ…。」


『久しぶり、栞。』




私の知ってるリサのままだ。いつものように笑って、私の名を呼んでる。

私のことを覚えてくれてることにも、安心している。







『どうしたの?』


「私ね、リサに聞きたいことがあって来たの。」








やっと、やっと聞けるんだ。










「どうして、自殺なんて…」


『どうして、ってどういうこと?』











いつも笑ってるリサの表情は消えていた。


ああ、聞いちゃいけないことを聞いたのかな、って。もしくは、言い方が悪かったのか。










「なんで、あの日…」


『栞が悪いんだよ。』










わたしがわるい…?


リサの言ってることが分からない。頭の上には?がたくさん浮かんでいて。理解力も衰えたのかもしれない。










『栞、知ってた? 私、いじめられてたんだよ。』









…うん、知ってるよ。


でも、言葉には出せなかった。そう言ってるリサの顔が、飛び降りる前のあの、殺意に溢れた顔で。


一瞬で思ってしまった。ああ、殺されるって。










『あの時、栞は私を止めてくれた?』


「私は…」










止めた、とは言い切れない。私は確かに止めよう「とした」。

でも、リサに被されたら、言えなくなってしまった。ただの言い訳に聞こえるかもしれないけど、無理だった。









『実は、本田たちに、飛び降りるフリでいい、栞が止めたら飛ばなくていいよ。でも、もしも止めなかったら落ちてよ、って。ちゃんと体育用のマットは引いとくからって。』


「なんで…」


『でも、信じた私がバカだったの。マットは引かれてなかったし。』










久しぶりに聞いた本田たちの名前。リサがいなくなって、ターゲットが変わったのと同時に、本田自身が学校を自主退学した。


主犯の本田がいなくなったことで、いじめも無くなり、平和な生活が戻って来た。








『私は、栞が言ってくれるって、止めてくれるって、信じてたのに。』








その言葉が、私の胸に刺さる。

でも、私でもそうなると思う。親友だと思ってる子に裏切られたら、同じことを言ってしまう。それで、傷つけるんだ。








「リサ、」


『でもね、栞は悪気はないんだもんね。私知ってる。』


「何を、」


『私が死んでから、私のことを忘れようと必死だったんだよね。お揃いのものも、なにもかも捨てて。リサ、悲しいな?』


「なんで、それ、」











あの当時、リサのことは忘れよう、そう考えることで必死だった。

リサとの思い出も、全て捨ててやろう、って。全部、何もかも。










『あとね、私もう一つ知ってる。』


「もう一つ…?」


『私をいじめてた本田に、私のことをいじめるように頼んだの、栞でしょ?』










…なんだ、知ってたんだ。

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