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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
35/180

心の距離 ⑤


・・


あの後、すぐに栞の元へと連絡が入った。リサも栞も会えるチャンスを手にしたし、これでもう私の出番はもうない。










『これが終わったら、私はもう行く。』


『もういいの、ひなたちゃん。』


『しっかりと話をし終えて、華の元に帰ったらな。』












終わったら、華のパートナーは次の人に変わる。

私はもう、用無しなんだ。










『ひなたちゃん…』


『任せたぞ。』
















「ひなた!どこ行ってたの!」


『色々な準備だ。』







その一言で済ましてしまえば、華はもう何も言わない。

刻々と約束の時間が迫って来る。


私たちは時間になるまで、ずっと黙り込んだまま待った。

すると、暗闇から姿を現す栞。








「お待たせしました。」


「大丈夫ですよ。」







約束の時間から既に30分。それで大丈夫なんて、嘘をつくにも程がある。






「ひなた。」





ボソッと呟く華の声をしっかりと受け止め、私は言うんだ。


「覚悟はいいか」と。


指を鳴らして、そのまわりが変わっていく姿をじっと見つめていた。








「夜中の3時までです。時間は守ってください。」


「はい。」


「それでは、楽しいひと時を。」








あともう少し、それだけなのに。



どうしてこんなにも時は進むのが遅いのだろう。

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