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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
33/180

心の距離 ③




「そんなことが…」


「私は、もう一度リサに会って確かめたいんです!」










会って確かめたい。それが出来ればいいだろう、でも世の中はそんなに甘くはない。


私はじっと華を見つめた。










『華。』


「わかりました。こちらでも交渉してみます。」


「お願いします。」










栞はそれ以上何も言わず、何も聞かず、その場から去って行った。









『交渉、まだ出来てないのか。』


「だって、ひなたが…」


『私のせいか。』


「別にそうとは……!」


「ストップ!」










その声がする方を見れば、楓が立っていた。しっかりと私の肩に触れ、私と華を離そうとしていた。









『お前、学校は…』


「今日はもう終わりました。」











いつも通り冷静に、淡々と話すから。わたしは口を開けなくなる。











「…で、なんで喧嘩してたんですか。」


「ひなたが、」


『また私のせいにするつもりか。』


「これじゃ話になりませんね。」










15歳の楓にそんなことを言われるとは屈辱だ。って言う私も。……あれ、私って何歳だっけ。


私の記憶を薄れていくんだな、離れると。











「華さん、私も紅茶一つで。」


「わかった。」













華が行ったことを確認すると、楓は私の目をじっと見つめた。












『なんだ、言いたいことがあるなら…』


「言え、でしょ?」










なんだ、楓の瞳の中には、しっかり私が映り込んでるじゃないか。












「ほんとに、いなくなるんですか。」


『別に、お前には関係ない。』


「あります。私は少なくとも、華さんとひなたさんに助けられました。」


『だから…』


「私は、嫌です。」











私が口を開こうとした瞬間、扉が開いた。

楓と私は一斉にそちらを見ると、華が紅茶を持って現れる。











「お待たせ、楓ちゃん。」


「あ、ありがとうございます…」











楓はその紅茶を受け取って、一口飲み込んだ。

私はそれを横目に、華をじっと見つめた。










「…なに、ひなた。」


『別に。交渉しに行ってくる。』


「わかった。」











私はそれだけ言って、姿を消した。







・・


「華さん。」


「ん?」


「ひなたさんのことなんですけど、」








聞きたくない、その名を。今は、今だけは。

彼女のいなくなる今後を想像したくないの。









「彼女は…」


「今は、今だけはひなたの名を出さないで。」









ごめんね、それしか言えないことに気づいた。


言ってしまったことには、責任を持って。



私はもう、冷めきった紅茶を飲みきった。

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