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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
32/180

心の距離 ②



リサがいなくなる前日、私たちは放課後ショッピングに出かけたり、女子高生らしいことをたくさんしていた。








「これ可愛い!」


「栞に似合ってるよ!」









なんて言い合って。二人とも笑いながら写真撮ったり、プリクラを撮ったりして。


ずっと笑ってたのに。






朝、私が早く学校に着くと、屋上で誰かが立ってて。にこにこ笑いながら立っている少女と、止める教師たち。

私には、それが衝撃的で。今でも頭に残ってる。









「岡本!降りて来なさい!」









岡本、まさかと私は屋上を見た。あ…、リサだ。


昨日お揃いで買ったイヤリングをつけてて。完璧にリサだった。










「リサ…」









名前しか呼べなかった。他にも言いたいこととか、聞きたいことはたくさんあるのに、なんでだろう。

私はその場を見ていることしかできなかった。









「栞ー!」


「え、」


「私ね!これから落ちるんだ!」








え、そんなことを大声で宣言するなんて。


私が今、一番びっくりしてるんだよ、わかる?リサ。










「栞には、すごく感謝してる。」











一つ一つリサが言っていく言葉が、矢のように私の心を刺す。

あまりにも残酷なところ。











「リサ、一緒に…」


「私に決断させてくれて、ありがとう。」










決断。きっとリサが言う決断は、このこと。


私自身はリサと離れることが嫌でしょうがないのに、それを言葉にすることができない。


嫌なのに。まだ一緒にいたいのに。なんでなの。












「私はね!栞のこと大好きなんだよ!」


「私もだよ…」


「だから、栞は私のこと忘れちゃダメだよ?」











あの時のリサは、正直言って怖かった。狂気で溢れたような、そんな雰囲気を醸し出していて。











「さよなら、栞。」












一瞬、そう聞こえた気がした。


次の瞬間、彼女は屋上から姿を消した。鋭い音と共に。


私はもはや、言葉さえ出なかった。




後ろで笑ってる子がいるのにも気付かずに。

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