表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
31/180

心の距離 ①


季節は春と夏の中間。見事な梅雨。毎日嫌気がさしてきた頃。

それと同時に最後(仮)のお客さんがそろそろ来る。来て欲しいと思うこともあれば、ひなたと別れたくないがために、来るな、と思ってしまうこともある。









「もうそろそろ、かな。」









今回の依頼人のことは入ってるのか、そう聞くんだ。

いつもみたいに、これが最後と思わないくらい。










「今日の依頼人は、佐々木栞さん。花園学園高等部に通う17歳。会いたい人は彼女の親友である、岡本リサさん。彼女は栞さんと会った翌日の朝、学校の屋上から飛び降り、自殺。栞さんは、その意図を知りたいと。」











いつものこと。私たちは依頼人の情報をお互いに共有して、お互いに彼らのことを知る。



それが、今からやることが、ひなたとの最後なんて。











『上出来じゃないか。』










そうやって褒めてくれるんだ。ここまで必死で集めた情報を、認めてくれてる気がして。

これがあるから、私は喜んで依頼を受けられるのに。


そんな時、チャイムが鳴る。…いつもみたいに。











『華、出ろ。』


「…でも、」


『華。』









私は少し落ち込みながらも外に出る。やっぱり外にいたのは栞で。ああ、来ちゃったって。


ほんとに少しだけ、涙が出そうになる。










「あの…?」


「あ…、こちらへどうぞ。」


『しっかりしろ、華。』









またこうやって厳しくするんだ。私にばっかり。











「お飲み物は、何にされますか。」


「いえ、気になさらず。」


「じゃあ…、本題に入らせていただきます。」










そう言うと、彼女は、一瞬で顔を曇らせた。そして、一瞬で、瞳が潤いを増す。


私は覚悟をして、目の前の紅茶を一口飲み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ