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会いたい理由 ③
時間が経つのは早い。あっという間に時間が過ぎ、そういう人たちが出やすい時刻になった。
私たちの待ち合わせ場所の、「ラ・クレシェール」というカフェに向かう。(貸切。)
甘い香りを漂わすこのお店。紅茶を片手に待っていると、後ろからハイヒールの音が近づいて来る。
「黒沢、華さん……ですか?」
「初めまして、ゴーストアビリティーの黒沢華です。中島杏子さんでお間違いないでしょうか。」
「はい……。」
緊張してる。
おどおどして、熱々のコーヒーを口に運ぶ。
砂糖もミルクも入っていないほろ苦いコーヒー。彼女はそれを、ちょびちょびと飲み込んだ。
「安心してください。お金は取りません。そして、私は学生です。中島さんが心配するようなことはしません。」
そう言えば、彼女は安心したようにこちらを見た。
華は彼女に、そっと微笑みかけた。
「神谷貴一さんに会いに行きます。私についてきてください。」
華はレジに向かい、会計を済ます。その後ろを彼女はひょこひょこと歩いて来る。