ゴーストアビリティーとは ③
その後、雅は華ちゃんのお父さんと結婚して、玲ちゃんを生んだ。まわりは玲ちゃんが跡取りだと、誰もが思っていた。
でもね、不安がった雅はもう一人、律ちゃんを生んだ。どちらも、雅ではなくお父さんに似てしまったらしい。
華ちゃんのお父さんは、プレッシャーに弱く、飽き性だから、さらに不安がってしまったの。
その不安から、華ちゃんが生まれた。
まわりはそろそろ男の子が生まれるんじゃないか、とそわそわしてたけど、奇跡的に三姉妹だったのね。
これまた華ちゃんは奇跡の子で、雅にそっくりだった。でも、順番から行けば、次の跡取りは玲ちゃん。
雅はずっと悩んでいたわ。
そんな時
「あの…」
「はい、どうされましたか?」
「会いたい人がいるんですけど…」
雅は優しい人だから。その願いを聞き入れてしまったの。
その人は、実はもう亡くなっている方だった。
ゴーストアビリティーになったら、死去されている人の願いは聞けない。鉄則の掟。
それを破ってしまった雅は、パートナーの方と、消滅してしまった。
そのまま流れ的に玲ちゃんが指名されたけど、玲ちゃんはゴーストアビリティーの「指名されたら必ずやり遂げる」というルールに違反して、姿を消した。
その後、律ちゃんも玲ちゃんの後を追うように、いなくなってしまった。
そして、当時10歳だった華ちゃんが跡取りになった。
・・
「ってことは…」
「玲ちゃんと律ちゃんは行方不明というよりかは、姿を消された。」
『残念なんだけどね…』
衝撃的な事実を知らされた私は、今どうすればいいのかわかっていない。
でも一つだけ、わかったことがある。
無性にひなたに会いたくなった。
「あの…」
『ひーちゃんなら、あなたと初めて会った場所に。』
「ありがとうございます!」
当時10歳だった私。私がゴーストアビリティーになるのと同時に、父も家を出て行き、私だけが残されていた。
もし、玲と律がそうなのであれば、私はよく引き受けたと思う。
あの時、
「なんで…、お母さんもお父さんも、お姉ちゃんもいないの…」
『そんなことで泣いてるのか。』
「え、誰…」
『私は、お前のパートナーの黒木ひなただ。』
ひなたと出会ってなかったら、私は一人だった。あの時、あの場所で話しかけてくれなかったら。
きっと私もルールに違反してたと思う。