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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
25/180

ゴーストアビリティーとは ②



連れてこられた場所は、祖父母の部屋。この部屋は、私が小さい頃から立ち入りを禁止されていた場所。

初めて中に入ってみた感想。それは、あまりにも暗すぎる。よく中も見えないな、なんて。









「華ちゃん、これ。」


「…なに、これ。」










それは、私も知らぬ、先祖からのゴーストアビリティーの記録だった。毎日依頼してくる人の個人情報を集め、何回目なのか。それが記してあった。


あ、だから手帳が必要なんだ。書いておかないと、忘れるから。


一人で自己解決して、その記録に目を通した。










「華ちゃん。」


「ん…?」


「私の昔話、少しだけ聞いてくれる?」











祖母はそう言って、口を開いた。



・・


私が大体17歳くらいの頃。私はゴーストアビリティーに選ばれた。

当時の私は何が何だか分からなかったけど、自分からそれを受け入れた。








「紫。あなたなら、できるから。」








私の母からそう指名された。



ゴーストアビリティーは昔から、女性しかなれない決まりがあった。そのためか、先祖の次の代から女の子に執着をし始めた。


私は現に長女だけど、3番目の末っ子。

それくらい、女の子が大事にされて来た世界だった。


その1週間後。






『初めまして、紫さん。』


「えっと、」


『黒木美奈子です。あなたのパートナーにならせてもらいます。』


「えっと、黒沢紫、です。」








私たちはゴーストアビリティーの契約を交わした。

この時、私たちはもう死ぬまで一緒、というのが記されてしまった。もう、離れられないの。

でも、その契約基準も最近変わったみたいなんだけど。








『紫さん、そろそろお客様が。』


「そうですね、行きましょうか。」







しばらくは、二人で十分なほどやって来たつもり。だけど、そんなことも長くは続かなくて。

まわりが結婚し始めて、私もそろそろ結婚を、って考え始めたの。


そんな時に、ある方が依頼しに来た。

それが、おじいちゃん。







「会いたい人が、いるんです。」


「はい、どなたですか?」







それから私たちは一緒に過ごすことが増えた。それと同時にいつの間にか、恋に落ちてたの。


そして、三年後。華ちゃんのお母さんが生まれて。

お母さんが15歳の時。おじいちゃんが言ったの。








「紫、二回目を使わせてくれないかな。」


「え、」


「この前亡くなった、私の母に会いたい。」









こんなこと言われてしまったら、使うしかないでしょう?


私はおじいちゃんを連れて、お義母さんに会わせたわ。









「午前3時までに帰ってくるのよ。これだけは守って。」








午前3時。この時間を過ぎてしまえば、依頼して来た人も、彼らと一緒に消えてしまう。

それだけはどうしても避けたかった。


でも……









「お母さん、お父さんは?」










おじいちゃんは帰ってこなかった。あれほどダメ、と言ったのにも関わらず、帰らぬ人となった。


私はそこから体調を崩して、眠り続けた。まるで、眠り姫みたいに。


そこで感じてしまったの。あぁ、私ここまでだな、って。


だから








「雅。次はあなたよ。」








お母さんに、雅に託した。


その後の雅は、私以上の活躍をしてくれた。私だったら断ってしまうような難題も、彼女はやり遂げた。


ある意味、正解だったのかもしれない。

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