ゴーストアビリティーとは ①
泉と歩の事件から、約二ヶ月ほど経った。あれ以来、ひなたの姿は見ていない。
私の元にも現れず、どこにいるのか分からない。私はそんな中、あの時の男がずっと頭に残っていた。
そんな時、一つの電話が入る。
「もしもし?」
「あ、華ちゃん?」
「おばあちゃん?」
私の祖母からだった。
この電話をきっかけに、私は実家に戻ることになった。
「華ちゃん!」
「華!」
実家に戻れば、みんな揃っていて。むしろ、私だけいなかったらしい。
懐かしいこの香りと、この景色。私の中で様々な思い出が蘇ってくる。
「華ちゃん、元気にしてた?」
「してたよ。すっごい元気。」
「今は?何してるの、華ちゃん。」
「大学生してます。いい感じに充実してるわ。」
親戚まで集まって、軽く年末年始の気分。この前集まったばかりなのにな、なんて。
でも、二人見当たらない。私の姉たちが。
「ねえ、玲と律は?」
「あぁ、二人とも忙しいみたいでねぇ…」
「…そうなんだ。」
思い出せば、玲と律とは、私が次期ゴーストアビリティーになってから、口を聞いていなければ、姿も見ていない。
今いないのも、少し、ほんの少し納得がいく。
静かにそんなことを考えながら、出されたお茶とお茶菓子をそっと口に運ぶ。
そんな時、
「華ちゃん。」
「ん?どうしたの?」
「あなたのペアの、ひなたちゃんはどこに行ったんだい。」
祖母は見えてるんだ。ひなたのことも、私の感情も。
『ひーちゃん、いないの?』
「いらっしゃらないみたいよ、美奈子さん。」
『残念ね、紫さん。』
少し残念そうにする美奈子さん。彼女は祖母のパートナー。もっと簡単に言えば、ひなたの祖母とも言える。
久しぶりに会えるかもしれない機会を奪ってしまったことが、少しだけ気にかかる。
「華ちゃん、少しだけ私について来なさい。」
「…はい。」
『私も一緒でいいのかしら。』
「美奈子さんも一緒でいいのよ。」
にっこりと微笑みながらそう言う。あまり表情を出さない祖母だが、美奈子さんと話すときだけは、表情が分かる。
私はにこにこ笑ってる祖母が好きなのに。