親友の悲劇 ⑤
あの日から約2〜3週間過ぎた。
あの日から、泉の両親は来なくなり、華の心情もおかしくなっている。
『華?』
「…ん、何?」
いつもより冷たく、私を見る目がおかしい。
まるで、軽蔑されているようだ。その対応にものすごくムカついてきて。
『華、言いたいことがあるなら言え。』
「…別に、ない。」
『あるはず…』
言いかけたとき、華の家のチャイムが鳴った。
ついに来たか。華の仕事を見るがいい。
「いらっしゃい。」
「え、華…?」
泉と歩は、華を見て固まっている。
そこで固まられていると、ものすごく邪魔だ。とっとと中に入れ。
そう思っていると、華の目つきが怖くなる。睨みつけられて、私はどうすればいいのか分からない。
「初めまして、ゴーストアビリティーの黒沢華と申します。立花泉さん、立花歩さんで、お間違いないでしょうか。」
「はい…。」
泉は放心状態で華を見ていた。華はその目線に気づかないように、その一心で話を進めた。
だって、気づいてしまったらゴーストアビリティーの仕事に手がつかなくなるから。
それを私は分かってるのに、何もできないんだ。
「ご用件は?」
「…両親に会わせてほしいです。」
『…やっとか。』
思わず声が出てしまっていた。言っちゃいけない言葉だと分かっているのにも関わらず。
もう、私は分からないよ。
「…わかりました。明日午後10時。緑丘公園で待っています。」
「緑丘公園…」
緑丘公園。それは、立花家にとってものすごく大切な場所。
だからこそ、華はそこを選んだのかもしれない。でも、私は絶対そんなこと、本人に言ってやらない。
「ひなた、行く。」
『なんで、お前なんかのために動かなきゃならない。』
「これに関しては、私じゃないわ。泉たちのためよ。」
言ってることは正論。私は、華の優しさに甘えてた。だけど、動きたくないものは動きたくないんだ。前までは動いてたのに、どこか、変だ。
「ひなた。」
『嫌だと言ってるじゃないか!』
声を荒げると、華はびくってして、こちらに冷たい目を向けている。
少し、落ち着いた方がいいようだ。
私はゆっくりと姿を消した。
突然、反抗された。ゴーストアビリティーはペア、パートナーがいないと作用されない。要は、ひなたがいなければ力が使えない。
それなのに…。
でも、どこかおかしい。急に、こんな風に反抗してくるなんて。何があったんだろうか、
少しずつ、ひなたが壊れている__。