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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 1
19/180

親友の悲劇 ②




「泉!」


「華…」





近くにいたのは、泉のお姉さんである、歩。二人の前にいるのは、冷たく横になっている両親。


ほら、当たった。泉と華と凛でゴーストアビリティーの話をしていた時、泉の身内に何かが起こるって。


この状況は、泉の両親が亡くなったんだ。泉と歩を残して。

泣きじゃくっている泉に、冷静に泉を落ち着かせようとする歩。


この状況を見て、私と華に何をしろと? 何をすればいい。まともに依頼さえ受けていないし、勝手に動けないんだよ、こっちは。






「おばさんとおじさんは…」


「交通事故だった。横断歩道を渡ろうとしたら、信号無視の車と…」







泉と逆で、静かに涙を流す歩。

泣きたいのに、泉を落ち着かせるために、不安にさせないために、泣けないんだ。どれだけ我慢して来たのだろう。





「泉、華ちゃんとロビーにいて? すぐ行くから。」


「え…」


「行きなさい。」


「…はい。」





泉は黙って出て行こうとする。






『私はここで歩を見ている。』





そう言えば、華は小さく頷いて。泉の背中をさすりながら、姿を消した。

しばらくすると、歩が口を開いた。







「今日は…、今日は、結婚記念日だったのに…。そんな日に……! そんな日に、私と泉を置いていかないでよ…。置いてかないで…。」






大粒の涙をたくさん流して、冷たくなった両親を揺さぶる。

やっぱり、泣きたかったんじゃん。泣けばよかったのに。泉の前でも。大声で行かないでって、泣き叫べばよかったのに。








『人間はほんとにバカな生き物だ。感情に任せればいいのに、なんで…。』








少し泣いて、最後に「さよなら」と言って部屋を出た。

エレベーターを降りると、椅子に二人で腰を下ろしてる姿が見えた。

泉はまだ泣いていて、華はそれを慰めるようにハンカチを渡していた。







「泉、もう泣き止みな?」


「歩だって悲しくないの? もういないんだよ?」


「悲しいに決まってる。でも、次に進まないと…。」








必死で涙を堪えてる。感情のまま生きればいいのに。









「華ちゃん、ごめんね? 泉、帰るよ。」


「…うん。華、明日ね?」


『華、私は二人について行く。お前は手帳とペン、二人の個人情報を把握しておけ。』


「うん、わかった。」







華のセリフは泉と歩に対するもので、決して私のものじゃない。

だって、心の中で「なんで?」と言っているから。

だから、こう言ってやるんだ。


「二人はすぐここへやって来るから」と。

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