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Ghost Ability  作者: 紫乃
Season 5
180/180

罪 ⑨


そんなことを考えていると、ガチャン、と玄関が開く音が聞こえた。華が帰って来たのだ。

時間切れ、というものだろう。



「帰って来たね」


「ただいまー」



私はここで何をしたらいいんだろう。このままでは華まで一緒に…。

段々力が抜けていくのが分かる。



「ただいま、ひなた…」


『今すぐ出て行け!』


「おかえり、黒沢華」



今のこの状況で、全然使えない頭をフル回転させて出てきた答え。それは華をこの場にいさせない事。

きっとこいつは私たちを巻き添えにして消えようとしている。そんなくだらないことに、華を死なせるなんて、私が持たない。



「どうして…」


「黒沢華、来い。来るんだ」


『来るんじゃない!』


「黙れ!」



華は恐る恐る私の隣にやって来る。でも前とは違う目をしていて。何かしら察して、何かを覚悟しているんだなって。こんなところで成長を感じてしまうんだ。



「ひーちゃん、終わりにしようか」


『それなら私と二人で…!』


「それじゃあ意味がないんだよ。分かるかな」



ニコニコしながら華を見てそう言うから。がくがくふるえている華を安心させるように、私はボソッと言ってやるんだ。

お前は消させない、生きていないといけない人間だから、と。

下を向いていた顔はパッと上がって、私を見て少しだけ笑っていた。



「ひーちゃんはこれで償ってよね」



それで僕の復讐が終わりを告げるんだ。

これで晴れるのなら、面白いものだな。華の手を後ろでつなぐと、あり得ないほど手汗をかいていて。

少し心が落ち着いてきた頃、目の前が光に覆われて、静かに目を閉じた。



「さよなら、ごめんね、ひーちゃん」



という声と共に。










「ねえ、ゴーストアビリティーって知ってる?」


「何それ知らない」



いつも通り明るい空の下でそんな話をしている人がいて。



「って、この話前にもしなかった?」


「確か3人でだよね」



3人で。そう言った後、何が何だか分からない顔をしていて。

まだまだ面白いことは残っている。



「誰だっけ…、あと一人」


「何見たの、怖いんだけど」



『これだから人間は』


「それがいいところなんだよ」



普通に生活して、生きていればそれだけできっと報われることがある。

もう二度とあなたと再会しませんように。

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